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仮面の男/ROYAL STRAIGHT FLUSH!!(東京宝塚劇場 10/22 15:30) [観劇メモ]

(大劇場版は観ておらず、三銃士もデカプリオの映画も観ていない、まっさらな状態で観ました。)

で、この話の主人公は一体誰なんだ? 誰について描いたお話なんだ? 誰の心が変化するお話なんだ? 群像劇なのかというと、そうでもないし、そもそも一時間半で群像劇は無理。感情の明確な流れがないから、随所で眠くなる。。。。

三銃士がフィリップを王にしようとするのが、いかにも「利用してます」的に見えるが、あれでいいのだろーか。アラミスの長台詞は支離滅裂だし。三銃士三人のキャラクターが、お兄さんなまっつ、陽気なキタロウくん、耽美で勘違いなキング、とこれまで観たことある三人でしかないし。

今までも思ってきたけど、児玉っちには「感情」というものが無いんじゃなかろうか。

…で、大劇場版を観た方たちの感想を改めて読み直すと。

うーむ、東京ではこれでも「感情」を足してあるんですね。これでも。ってことは、大劇場版は本当に、お話にもなっていなかったんだろうなあ。影絵の後でフィリップとルイーズが心を通わすとか、三銃士がフィリップに皇帝教育を施すとか、それが無かったなんて、そりゃー無理だわ。コンスタンスがアンヌ王妃と話す場面とか、フィリップが自分の生い立ちを知る場面とか、も無かったなんて、そりゃー、つじつま合わないわ。アトラクション場面以前の問題だ。

東京版に残った(改変された)アトラクション場面は、それほど嫌じゃなかったです。衣装かと思ったら単なる「台」で、下着姿に変わるとか、唇のパペットやヒメの映像、影絵、馬…むしろ、悪くない。ミラーボールに一瞬ひるんだのは、自分でスカートをめくるからだと思う。(あのページェントはいかにも「現代」でセンスないが)。装置の上に望遠鏡持った人がたくさんいる場面や、大階段が出て来るとこなんか、むしろワクワクドキドキして楽しかった。酒場の装置や、額縁が開く装置も面白い。

だけど…。別に、こういう演出でなくてもいいんじゃないかなー、と思った。お話がしっかりしてれば、こんな演出なくても楽しいはず(例「小さな花がひらいた」)。お話が無いのに、アトラクション的演出ばかりだから、なんかバカにされてるような気がする。鼻につく。最初の世界史説明?場面も、小劇場で芸人さんがやったらウケるだろうけど、大きな劇場で、宝塚で、真面目なタカラジェンヌがやっても無意味。大劇場版は、この傾向がもっともっともっとすごかったんだろうなあ。。。と思うと、みなさまの無念に思わず手を合わせてしまう。

しかも、こういう小細工場面はわりとテンポいいのに、感情やストーリーの根幹にかかわる部分はタルいのよね。コンスタンスの伏線が最後に回収できて、心底ほっとしたよ(なんて低いハードル)。

ただ、主要なスターさんに、そこそこに役をふってるのはえらいと思った。それに、黒キムがいい! ぞくぞくする。キムの二役の演じわけも上手いしねえ。金髪ロン毛が似合う。このビジュアル最高。下手なキスシーンもないし。キムをひたすら堪能するのには、いい作品だ。

ショーは盛り沢山でよくわからないうちに終わるという、吉正の典型。
・なんだけど、主題歌がいまいちでノリきらない。
・使われている曲は80年代が多くて、同世代だなー、わかるわかる、という感じで楽しい。
・トランプがテーマだけど、なぜかベトナムと西部劇っていうのが、よくわからん。トランプ=ゲーム=勝敗、ってことなの? だとしたら、戦争や西部はいかにも「侵略」じゃんー、ゲームどころじゃないよー。
・戦隊ものみたいな名乗りあげ(これってそもそも歌舞伎か!!)が楽しい〜。リオブラのあれね。で同じく次が若者の場面と。このへんで、セルフぱくりの感じが。
・「渇望〜」っていう歌詞も、カラマゾフの「衝動〜」のセルフぱくりっぽい。
・中詰めが二回ある? 二回目のほうの娘役の衣装がかわいい。グレースコンチネンタルで売ってくれ。
・ヒメがマルキーズの衣装着てた。
・西部ではどうしてもニワニワのアフロ店長を見ちゃうんだよなあ。キタロウくん観たいのに。
・若者場面ではどうしてもがおりのダンスを見ちゃうんだよなあ。キタロウくん観たいのに。
・海賊の場面があっと言う間でよくわからない。
・ベトナムの場面はヒッピーの思想を言いたいんだろうなあ。けど、あえてやる必要性は感じない。
・退団者三人が降りてくるのはいいね。
・せし子のインディアン女装があんまりかわいくなかった。ロミジュリの「愛」はどこに!?
・ミミのアリスも髪型か衣装か、どこかかわいくない。。。(ほかはかわいいから謎)
・アイドルのシーンとかこないだの三木作品に比べれば楽しい。

ややセルフぱくりになりつつあるのが心配だけど、二回目以降はまるかも。
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「小さな花がひらいた」の原作「ちいさこべ」を読んだ [観劇メモ]

原作中の、花組のみなさまの年齢。

伊吉(ふみか)&兼六(ネコ) 60近い(おおー)
助二郎(はっちさん) 45
大六(だいもん) 31(だからあんなにリキ入ってんのね)
茂次(らんとむ) 23
正吉(あきら) 20(火事見物が好きなお調子者。宝塚版ではもっと年下設定だね)
くろ(みつる)、おりつ(らんちゃん) 18(同い年!!)
おゆう(じゅりあ) 17(え、らんちゃんより年下なの!?)
菊ニ(ふじぴー) 13(だが、11と偽っている。それはおりつをお母さんと慕っているから)
六(ななくら) 9
重吉(和海しょうくん) 9(ななくらと同い年!? ミカンを盗んじゃって騒ぎになる重要な役)
又(なみお) 8
梅(くみちゃん) 8(宝塚版では、もうちょっとお姉さんだよね)
伝次(がりん) 7
市(桜帆ゆかりちゃん) 6
あつ(ひめか) 4

…実年齢に近い人なんて、いるんだろーか(笑)

原作を読んで一番驚いたのは、おりつが、色黒で勝気なこと。らんちゃんの和風顔の可愛らしさのせいか、宝塚の娘役という枠のせいか、おりつという人物を、娘らしい健気さの具現のように思っていたんだけど、原作ではもっと、意固地な感じだった。そこがまた、魅力的なんだけど。

茂次も、けっこう頑固者って感じがした。これが江戸っ子なのかなー。いや、二人とも素敵なんですよ。でも、リアリティがある。宝塚の舞台では、こういう人物像が、もうちょっと定型的な「かっこいい」「かわいい」になるんだな、とあらためて思った。

おゆうも、まるで「たけくらべ」のみどり@姫川亜弓だし。だから、じゅりあが演じていてどうしてもつきまとう「この人、いつオーホッホッホって高笑いして豹変するんだろう」的な雰囲気は、決して間違ってない(笑)。生まれつき恵まれてるからそれがめちゃめちゃ嫌味になるっていうのは、それで正しい。

宝塚版には登場しないエピソードがけっこうある。

火事で、茂次の両親以外にも、職人が二人死んでる。この二人の葬式は出してるんです。なのに両親の葬式をあげないの。だから、おりつは怒ってるんだね。正直、現代人のわたくしは「葬式でそこまで怒るかなー」と思ったので、ちょっと納得した。

重吉(和海しょう)が、八百屋(茂次の幼なじみがやってる)でミカンを盗んだって騒ぎになるエピソード。茂次は「子どもにはそういう時期がある、俺たちだってやっただろ、でも警察に突き出されなかったのは、親がいたから。親がいないからって、この子だけ警察に突き出すのはおかしい」とかばって(もちろん謝罪して弁償する)、盗んだ子は反省する。今だったら「即警察呼びます」っての多いよね。でもそもそも、今は、浮浪児ってのが、存在しない! いろいろ整備されているだけに、「過ち」というのが見過ごされなくなっているのが、現代なんだろうね。良くも悪くも。まあ、削った理由はわかります。

あと、菊二(ふじぴー)がおりつのことを熱い視線で見ていて、おりつは「いやらしい目で見てる!」って思うエピソードもある。これは、すみれコードにひっかかるのでやめたんだね。じつは「お母さん」代わりにしたかった、という誤解だったんだけど。

でも素敵なのは、その相談を受けた茂次。最初のいやらしい目云々のときは、「そういうのは少年にはよくあることだ」と菊ニをかばいつつ、「でも何かあっちゃあまずい、気をつけなくちゃ」と自分が背負おうとする。誤解だったとわかって、いやらしいとか思った自分がいけないんだと自分を責めるおりつには、「若い娘が警戒するのは当たり前だ」とおりつを慰めるの。誰のことをも責めないの。素敵だわ。素敵すぎる。茂次のぶっきらぼうな態度は「枯れ枝を折るようなしゃべり方」と書かれてました。でもいいの、素敵だから。

(ちなみに、「お母さんと慕っている」という流れで、茂次が「本当のお母さんになればいい」=「俺の女房になれ」となって、お話が終わります。)

あとは、
・福田屋の主人は男の人! 久兵衛。宝塚では初演から女役だね。これは、おゆうを嫁入りさせたいと目論むのは、女親のほうが適切だから、ということなのかな。
・いぶ&かぐらの、町の「迷惑してますわ!」な女性たちは原作には出てこない。
・くろは、子ども扱いされてすねて、現場に来なくなっちゃう。
・茂次のお父さんは寝たきりだったので、それもあって火事から逃げ遅れた。
・おりつのお父さんもずっと寝たきりだった。みんな大変だね。。。
・福田屋が焼けなかったのは角地に立ってるし、土蔵が3つもあるし、前が堀割、隣が武家屋敷だから、かもしれないって。確かに、ちょっと不思議だったんだけど、火事ってそういうものなのかー。
・藤造(アーサー)は、焼けた「魚万」の責任者。
・ふみかはけっこう怖い。宝塚だと、「まあ、あいつはそういうやつだ」みたいに大きく見守ってる感じだけど。
・逃げたのはじっ平(新菜かほちゃん)、忠(ルナちゃん)ほか五人。菊ニは逃げてない。
・忠のあの大人びた口調は、柴田先生のオリジナル!

映画のDVDもゲット! 見るぞ〜。テレビドラマ版もあるらしい。いい作品だと、予習復習が楽しい! 

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