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好色一代男(御園座 8/6 12:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

この手の商業演劇(明治座とかでやってる、じじばば向け)のまったりさにはそこそこ慣れたつもりだったけど、どうにもまったりしすぎていて…。作・演出の岡本さとるって『愛、時をこえて関ヶ原異聞』の人か、どうりで…。

西鶴の『好色一代男』は学生のときかじっただけで、ぜんぜん覚えていません。原作は何十人も女の人が出てくるよね? 市川雷蔵の映画はどうなんだろう? このお芝居は5人ぐらいかな、ちゃんと描かれているのは。面白いのは、幻の女として竹下景子が世之介にいろいろと、恋とは何か、色事とは何か、を問いかける趣向。この幻の女の正体は誰か、というのがオチ。まあ、途中でわかっちゃうんだけども(一応ネタバレなので伏せる)、そこそこ現代的なオチになっているのがミソ。

このオチに向けて、世之介がこれまでの遊び人人生を振り返る、という回想仕立てになっているんだけど、それも全然洗練されていなくて。オチに向かって、もっともっとメリハリをつけることができるだろうになあ。暗転につぐ暗転、恋とは何かって、さっき言ってたことと違うやん、んー? って感じで進んでいくので、うとうと…。

一度すごく長い暗転があったけど、本水を使う装置をセットするためだったらしい。やっぱりそういうセットは目が覚めるね。一方、花道は何回も使いすぎてて、ありがたみがなかった。

主役の片岡愛之助はいわゆる甘い顔で、遊び人ぽい感じが好色一代男にぴったり。描かれる女性のうち、最初に登場するのはなんと、愛原実花。「誰だ、あの美人は」と思ったら、みなこだったよ(驚)。着物が似合うねえ、小顔だねえ。夢二の絵に出てくる女性のような等身。せりふ回しなんかもうまいし、活躍してほしいですな。二番目に出てくるのは、なんと、あひちゃん(遼河はるひ)。女医さんの役で、相変わらず芝居は下手なんだけど、女医さんて役には合ってた。あと途中で幽霊の役もやってて、あの声が妙に合ってた。リカちゃん(紫吹淳)は花魁の役。高い下駄?履いて、花道を花魁道中するのが、静かな迫力があって良かった。花道近くの席だったので、生足見れてラッキー。武家の出で落ちぶれて遊女になったという役の悲しい色気も出てた。でもちょっとまだこなれていない様子。コンサートから一週間たってないもんねえ。(あと、みなこもリカちゃんも、お歯黒が怖かった。無理に時代考証厳密にしなくてもいいのでは。)

私が気に入ったのは、お父さん役の上村吉弥!! 高い鼻といい、白目の感じといい、まるで汐美真帆さんじゃありませんか! すてきすてき〜。芝居がびしっとしまるし、今日の収穫はこの人。ひたすら目をはあとにして観てました。っと調べたら、女形なんですか? うっそー、あんなにすてきなおじさまなのにいいい。

世之介の子分の人(桂雀雀)と、やくざの親分の人(我善導)が、コミカルな部分を背負っていて、どちらもうまかった。こういう、やや太めで三枚目ポジションって、商業演劇で定番だよね(ゾロのガルシアとか)。あと、二枚目のライバルってのも定番でそれは原田龍二。水戸黄門の助さんネタもやってて、客席はやっぱりテレビで見たことある人が出てるのがうれしい様子。墓荒らしのおばあさん(田根楽子)がうまかったなあ。やくざのおかみさん(誰だ?まさか佳那晃子?)と、若い尼さん(海老瀬はな)が下手だったのが残念。商業演劇って、うまい人と下手な人とがふつーに混在しているのが不思議。って、タカラヅカがまさにそうだな。竹下景子はあの年ですごい美人オーラ。うーん、あやかりたい。やきもち焼きの「お捨て」という役の人は、上手いわけじゃないんだけど発声がすこぶるよかった。守田菜生というのか…えええっっ、いーちゃんさん(寿ひずる)の娘なのか!! 

安寿ミラ ダンスアクト FEMALE vo.11(新宿BLAZE 8/5 18:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

ヤンさん、かっけぇぇぇぇぇ!! 小柄なのに大きく見える! 一挙手一投足から目が離せない! 決めるところはびしっと決めて、けだるいところはびしっとけだるく(なんだそれ)、細いのに全身筋肉で。大人ー、かっこよすぎー。…映像では散々見てたけど、ひょっとして私、生ヤンさん初体験!?

前半はフランス映画のイメージで、ヤンさんが女優さん、佐藤洋介が男優で、楽屋入り?するところから始まる。二人の会話を、フランス語のアテレコにしてるのがセンスいい。真波そらちゃんがヤンさんファンで、サインを求めてキャピキャピしている様子が、等身大って感じでとてもかわいい。で、映画?の中のシーンということでいろいろな、大人の男女の場面が続くんだけど、もー、どれもかっこいい。「so in love」のフラメンコっぽいアレンジとか、もちろんタンゴ、煙草吸いながらのダンス…。

後半は、キャンドルを舞台上に置いて、震災の追悼から希望へ、というストーリーなのかな。ここでそらちゃんが歌った『ロジェ』の歌が、なぜかしっくり来て、ハリー信者である私は歌詞深読みして思わず涙。最後の「smile」は、照明の使い方もすてきで、小さな光がヤンさんの体に集まってきて、それをこっちに投げてくれるような動作で終わってた(たぶん)。なんだか泣ける。

この人の振り付けは、曲の流れにすごく合わせてるんだね。だから目と耳の一体感が味わえて、心地いい。それに、ちゃんと歌詞の意味にあってる。外国語であっても。

それに、ダンスと振り付けだけじゃなく、構成や演出もセンスいいの。間の取り方、場面の転換、照明、衣装…。そのうえ、真波そらへの宛書きもぴったりだし。これさあ、全部ヤンさんがやってるわけだよね? すごくね? すごい才能じゃない? もういっそ、タカラヅカのショー一本作ってもらっちゃっても、いいんじゃない? 大浦みずきを生で観たとき、「神だ!」と思ったけど、安寿ミラは人間国宝だわよ。

しかも、あのツンデレ風味。ちょっと笑ってくれると、めちゃめちゃうれしい気がする。ファンになったらどっぷりはまりそうだなあ〜。

真波さんは、等身大の役は元気でとってもかわいく。スーツでの男役は、大人の女に最近雇われた運転手です、みたいな風情で初々しく(現役のときはあんなに完成されてたのに、今またこうして卒業生と一緒だと、初々しく見えるんだよねえ)、そして赤いドレスはちょっと肩幅広すぎて…大変なことになってました(笑)。

佐藤洋介さんてのは、こないだsky stageの『we love dancing』って番組で名倉加代子先生の弟子として登場してた人だよね? すげー大きくて筋肉もりもりで、なのになめらか〜なダンスなの。っていうか、なめらかに踊るにはあれだけの筋肉が必要なんだろうなあ。この人のソロで、疲れた男が椅子の上でぐだぐだする場面がすごく面白かった。軽々とヤンさんをリフトするのも、見ていて気持ちいい。

いいもの見せてもらいました。こんなにすごいものを作っている人が、いるんだなあ。ただただヤンさんにひれ伏す1時間半でありました。

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