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100万人割れ危機の原因は何か [ヅカ的近況]

「宝塚100万人割れ危機、子連れママ用割引開始」
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20110212-OYT1T00533.htm

「人気演目「ベルサイユのばら」を上演した2001年度は110万人、06年度は112万人を動員するなど、チケットの入手が困難な公演もしばしばあった。(中略)ところが修学旅行や企業の福利厚生利用が減り、長引く不況が追い打ちとなって、07年度以降は100〜101万人で推移。A席(5500円)とB席(3500円)は94年から価格を据え置き、期間限定で学割やシニア割引を実施したほか、今年度は全5組が観劇者向けにビンゴゲームを行ったり愛用品をプレゼントしたりしてファンサービスに努めたが、これまで約80万人にとどまっている。」

うーん、子連れママが託児所利用すると2300円割引って、たいした額じゃないよね…。「託児所無料!」ぐらいにしないとインパクトがない。(大体、A席据え置きって言っても、S席に変更した席がけっこうあるじゃんっ)

いくらなんでも、この一年で20%減は驚きだ(*報道からあと一ヶ月半あるのでそれを計算すると9%減ぐらい?)。いくら不況だと言っても、景気はそこまで落ち込んでいないよね? GDPとか景気動向指数とか指標はいろいろあって、読み解き方に詳しくはないけど、世の中の景気全体に比べたらちょっと異常な数値なんじゃないか。だから、こんなに減ったのは、(もちろん不況のせいもあるけども、)全部が全部不況のせいではない。(お、ちょうど相撲も本場所売り上げ10%減ってニュースが!)

「修学旅行や企業の福利厚生利用が減り」って書いてあるけど、たしかに、劇場で修学旅行の団体を見なくなった。もちろん、毎日行っているわけではないけれど、以前は目にしていたのが全く目にしなくなった。でも、不況でも(福利厚生はともかく)修学旅行はあるだろう。不況ゆえに海外をやめて国内にするだろうから、むしろ増えたっていいぐらいでは。

では何故、修学旅行客が減ったのか。明らかに裁判の影響でしょう。裁判の最中、2chで「子供の通っている学校に、修学旅行で宝塚を観劇しないよう働きかけます」という書き込みがけっこうあったから、裁判の影響は否定できないと思う。そこんところはスルーですかい。

で、子連れママを取り込んで席を埋めよう、というわけなんですね?

子連れママというのは、確かに、まだ手をつけていない分野かもしれない。かつてファンだったけどお休みしている子連れママもいるし、新規で興味を持っているけど子育てに忙しいというママもいるだろう。最近の劇団のターゲットは、お休み中のオールドファン(再演でアピール)、一般客(ゲームや映画、漫画の舞台化でアピール)だということはわかる。その一環の発想なんだろう。

でも、それでは客席は埋まらないよね。だって、子育てで忙しい子連れママが、減った9%もの席を埋められるわけがないもの。

そもそも、一般受け自体はよくなっていると思う。2004年頃から、少なくとも裁判の影響をのぞけば、一般受けは急上昇している。雑誌やメディアでの取り上げられ方が、以前より好意的。モデルの美香とか、蜷川実花とかが「宝塚に夢中です」と言ってくれることで、「キモい団体」イメージが払しょくされた。デコラティブなものが流行しているという素地もある。私自身、「宝塚観てみたい」「連れてって」と言われることが多くなった。新たにヅカファンになる人も何人かいた。

そして、男性客が増えた。実感として。劇場で周辺の男性率を数えるというのはよくやっているのですが、確実に増えている。私がディープにはまりだした2002年は25人に一人。4%。だけど今は少なくても15人に一人はいる。6〜7%。なんと、1.5倍ですぞ!(注:於東京宝塚劇場 竜眼調べ)

一般受けするタカラヅカ。ふつーの娯楽タカラヅカ。チケットが取りにくいとか、異常な女たちが観るものだとか、そういう先入観なく、観てもらいたい。そんな前理事長の願いが叶いつつあった。

なのに、2007年頃からすでに客席の減りは目立っていたよね(ちょうど今回の報道内容と時期が一致する!)。ヅカファンなら誰でも知ってる、寒〜い状況。男性客が増えるほど一般的になった。なのに、客席は埋まらない。これは一体どういうことなのか。

答えは簡単だ。お休み中のファンでも、一般客でもない、今観に来ているリピーターが減ったってことだ。逆に言えば、異常なリピーターたちがあの客席を埋めていたんだ。そうでなくっちゃ、あんな大きな劇場、埋まらないって。そして、今年減った9%から団体客を引いたぶんも、間違いなくリピーターだと思う。

知人で、ものすごい金額をタカラヅカに費やしていたのに、2006年の一作トップがきっかけで観なくなった人がいる。彼女が落とすお金だけじゃない、彼女が連れてくる友達、そのまた友達。。。ご贔屓のため、劇団のためと思って頑張って客席を埋めてきたのに、そんな人を一作トップだの、納得できない人事だので裏切ってしまった。退団した二番手のファンだって相当痛手を負っただろう。

私は裁判のことで怒って観る回数が減ったけど、それほどじゃなくても「白けてしまった」という人は多い。そんなに裁判のことを気にしていない、追っかけに燃えているはずの友人も、聞いてもいないのに「メモカじゃなくてみみちゃんの日を観るよ」と言う。2008年『エリザベート』も不信感を募らせた。不審な抜擢には誰だって敏感だ。人事や裁判のことだけじゃない。「一カ月公演になってせわしなくて、他組を観ていられない」という人もいる。「再演とか、映画や漫画の舞台化は食指が動かない」という人もいる。

不況だというのに、大事なリピーターにリピートさせる気を失わせてしまった。修学旅行客も失ってしまった。私には、それらの結果が9%減の真っ赤な客席だとしか思えません。

劇団上層部の頭の中には、「ベルばらブーム=不況で困っているところに一般客が押し寄せた伝説」があるんでしょう。でも、あのときとは経済状況も、女性の社会進出度も、他の娯楽の状況も、今とは全然違う。微増しかしない一般客や子連れママに望みをかけるよりも、今までいた大量のリピーターと修学旅行客をつなぎとめることのほうが、席数にはつながる。それこそが不況でもなんとか続けていける策だったと思うのになああああ。残念です。

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