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メイちゃんの執事(日本青年館 2/15 15:00) [観劇メモ]

遠征の報告がいっぱいあるのですが、まずはこれ。

ビジュアルはすごかった。二次元が三次元にちゃんとなってて、原作ファンにもご満足いただけたのではないかと、原作読んだことないけど推測。

装置もよかった。児玉っちは装置はいつもいいんだよね。薔薇の映像から、ドーナツ型の装置が開いて、スターさん登場! とか素晴らしい。今回はさらに、留学で仕入れてきたぞという感じの小ネタが多くて、『オグリ!』みたいに繰り出されていた。

紅ゆずるはスターオーラはすごいし、しれっとした感じが役に合っている。技術がついていかないのは、相変わらずなんだけど。歌はともかく、発声と滑舌が不安定なのは、少しも早く改善してほしい。

みやるりかわいいかわいい。学らん詰襟の舞台写真があったら即買う。でも今度はかっこいい役で観たいわ。音波みのりちゃんかわいいかわいい。芝居が自然なのも好み。白華れみはお嬢様っぽさがすごい。これぞ娘役芸。娘役芸ってのは、研1生なんかにはできないものなんだっつーの。

汐月しゅうは当たり役だし、ヒゲのあれ、誰? 漣レイラ? 研3? 将来有望ヒゲ部だねー。南風里名ちゃんと、れん様(我が家では年末のオールリクエスト以来、如月蓮をそう呼ぶ)があんまり大きな役じゃなかったのが残念だけど、それぞれのお嬢様と執事がキャラが立ってて、サイドストーリーも観たくなるような楽しさだった。ゆうちゃんさんと美穂圭子様がきっちりコメディの仕事をこなしていたのも感服。

けどねー。けどねー。けどねー。

荒唐無稽な設定はまだいい。一人のお嬢様に一人の執事っていう世界も、全くありえないわけじゃないと思う。むしろ、ちょっとときめく。だからこそ、荒唐無稽にリアリティを持たせてほしい。だって、お嬢様の心理はともかく、執事の心理がほとんど描かれていないんだもの。自分が賭けの対象になるって、どんな気持ちなの? 賭けの対象なのに自分で闘うってちょっと変だよね? それでもお嬢様の言うことを聞くのは、仕事の部分と愛情の部分とどのくらいの割合なの? 執事さんたちに聞きたいことがいっぱいあるけど、全然答えてくれなかった。なーんだ、これ、お嬢様になりたい女の子の妄想の域を出てないんじゃん。そう思うと、引いてしまう。

そもそも、立派なお嬢様になるってどういうことかというと、端的に言えば、政略結婚の道具になるってことだよね。事業を継いで事業家になるっていうのもあるかもしれないけど、いずれにしても、学校の外に出たら、ものすごく重い責任を背負わされるってことだ。しかも、結婚したら執事はついていくのかな。いくにしてもいかないにしても、お嬢様と執事の関係はあくまでも、雇い主と使用人なのだから、二人の間に生まれる愛情には、後ろめたいものが無いと、不自然。

なーんてことを思うのは、私が70年代の少女漫画で育ったからなのかもなー。だって、お蝶夫人とか、姫川亜弓とか、すっごい責任感で努力してたやん。もしくは高階良子作品とかに出てくる、一般人から傅かれつつも、裏では嫌われてるタカビーなお嬢様とかさ。お嬢様にはお嬢様なりの「社会」とか「人生」があって、お嬢様に付き従う執事にも「人生」「人間心理」があるはずだ、と思ってしまうんだよううう。ポイント集めると上位のお嬢様になれるって、なんだそりゃ。今の少女漫画ってこんなんなの? だったら、つまんないなあ。

かといって、タカラヅカがこの漫画を取り上げて公演した意味がない、というわけではないです。全然ないです。こういうビジュアル祭り! みたいな公演、一年に一回ぐらいなら楽しいです。

私が気にしているのは、この公演、最近にしては客入りが良かったので、劇団上層部が「そうかー、こういうのが売れるんだったら、こういうのばっかりにしよう」と勘違いしてしまうことなんです。

タカラヅカはビジュアルが大事で、スターさんの追っかけをするのが楽しいっていう側面もあるけど、その裏に、意外に、思ったよりも、あら不思議、深くて文学的な作品をたくさん生みだしている劇団なんだよー。私はファンになったとき、そのことに驚いて、心底感服したのです。純粋培養されたスターさんたちが深い話を演じると、外の公演では実現できないような、美しくも荒唐無稽な建前がリアリティを持って眼前に現れる、それこそが本当の「夢」であり、タカラヅカの素晴らしさだと思うのです。

::::::::本家はコチラです→a posteriori takarazuka:::::::
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