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ストックホルム症候群 [音楽学校裁判]

いつものように雪組のNOW ON STAGEを見る。そしたら、いわくつきの人が右端にヒロインとして座ってた。「悪名広めないでね」が頭の中にこだまする。なのに、ほかの生徒さんたちは見慣れた愛すべき顔ぶれで、今までどおり楽しく番組を見たいと思う。

頭がぐらぐらする。足元がぐらぐらする。この異次元感。

見ないで、消しちゃうか。

いや、左のほうは見たいしな。

そうするとなぜか私の脳の神経がわさわさと動きを始める。いわくつきの人も、けっこう色が白いいい? 若いからきれいなのかもおお? 歌上手いんでしょうう? そうなんでしょう?? お願い、そうだと言って!

驚くべきことに、私の脳は、なんとかしていわくつきの人の美点を探そうという方向に神経細胞を作り始めたのだ。

恐るべし、人間の生存本能。

だって、そうでなきゃこの番組を見られないんだもの。この人を認めてしまえば、かわいいと思ってしまえば、上手いと思ってしまえば、過去のことなんかなかったことにしてしまえば、この番組を今までどおり楽しめるし、これからも観劇し続けられる。

まるで、ストックホルム症候群だ。誘拐された被害者が、生き延びるために、自分から加害者に恋愛感情を抱くという。

待て待て待て。自分に嘘ついてどうするんだ。自分の目と心を信じないなんて、絶対にしてはいけないことだ。誘拐されたわけじゃないんだから、全然耐えられるはずだ。

私の目では、ヒロインとして規格外だし、歌も上手いと思わなかった(「はじめて愛した」)。私の心は、本人が極悪でなかったとしても、96期の首席を研1で抜擢する劇団には絶対に納得できない。

ものごとは0か1じゃない。いわくつきの人を全て容認する、もしくは、この番組を全て否定する、0か1かを選ぶのは比較的楽だ。しかも前者は、たとえ嘘の容認であっても、怒りや悲しみを発しないから、一時的には周囲から歓迎されるだろう。でも、ものごとは0か1じゃない。

96期生全員が黒か、全員が白か。答えは、どちらでもない。真っ黒なやつもいれば、薄いグレーもいる。それを、「みんな悪くない、かわいそう」と言うのも間違っているし、全員を口汚くののしるのも違うと思う。ものごとは0か1じゃない。

0でも1でもないところで踏みとどまって、ただただ、この状況をじーーーっと見つめていたいと思う。

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