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ステージシネマコレクション「Take me out 2018」(DDDクロスシアター 2/15) [観劇メモ(ヅカ以外)]

玉置が出るから観たかったけど、都合があわなくて観られなかったTake me out。
映像上映があるというので行ってきました。

いやー、これ、絶賛の嵐だったのがわかる!
帰りにDVDを買って、また見ています。見ずにはいられない。

台詞を一言も聞き漏らせない。
上手く暗転と音楽が入って、ぱっと場面が変わる。
セットはロッカールームのロッカーを模した箱と、椅子ぐらい。
全く無駄のない舞台。

ナマだと、しゃべってない人たちの動きとかも気になっただろうなあ。
みんな小芝居してたんだろうなあ。

2003年のメジャーリーグ。
スター選手がゲイであることを告白することから始まる。

本人が(日本だとありえない感じの)堂々とした人物で、
周りもそれほど衝撃を受けていない…
というところが新鮮なんだけど、
やっぱり、急に親しげになる人とか、急に揶揄する人が出てきて、
すごくリアル。

おさえのピッチャーで不思議ちゃんが登場するんだけど、
彼がぽろっと差別発言をしたことで、
話がどんどん悪いほう悪いほうに進んでいく。
彼は孤児院育ちで、子供の頃親が心中したという、大変な生い立ちなのだ。
だから、可愛そうなの。でも、だからといって差別していいってわけじゃない。でもでも。

野茂がモデルみたいな日本人選手も出てくる。
祖母が移民で収容所にいたとか、親戚が広島長崎にいて、という設定。
スペイン系の選手もいる。

社会のいろんな問題がこの小さな舞台からどんどん見えてきて、ヒリヒリする。

でも、救いはあるんだよね。
それは、野球のすばらしさ。

いや、自分、スポーツに全く興味がなく、
今も、野球が素晴らしいとは思っていない。

でも、この舞台に登場する野球は本当に素敵だ。

それを伝えてくれるのが、玉置演じる会計士。
いつのも身体能力や大きな声は使わないんだけど、
演技の集中力というか、照れたり困ったりするときでも、
すごく密度の濃い空間がいつも彼の周りにある。
ラスト、彼が球場全体を見渡すとき、
本当にそこに球場が見える。

野球は3の倍数でできているんですよ。
野球は民主主義のメタファーであり、民主主義より素晴らしいんですよ、
ホームランは最高のカタルシスであり、最高の栄誉なんですよ、、、

それがスター選手の癒しになっていく過程は、こちらもほんわかする。

会計士は観客と選手をつなぐ役割でもあり、
役者を観ているファンである我々自身でも、あるんだよね。
(過去のデータから小ネタを探してくるとか、オタクっぽくて、あるある)

スター選手の章平さん、ハーフなのね。ガタイがよくて色気がある!
(じつはこの上映、後ろで見ておられた~)
語り手として大活躍のキッピー役の味方さん、誰かジェンヌに似てると思うんだよねえ…
キッピーの立ち位置も切ない。こういう人っているいる。
面倒見よくしようと思って、裏目に出ちゃったりするんだよね。
不思議ちゃんのショーンは栗原類、もう、素でやってるとしか思えない、
彼なくしては成り立たない。

音楽も素敵だった。吉田能…
演出は藤田俊太郎…ジャージーボーイズの人で、蜷川の弟子なのか。

「私を野球に連れてって」という曲からついたタイトル。
会計士は、全く新しい野球という世界を知った、
スター選手は、自分が思っていた自信に満ちた世界と違う世界を知った、
不思議ちゃんは、二度と野球ができなくなってしまった…
たった1シーズンで、それぞれの連れていかれた先があまりにも違いすぎる。

それをたった2時間の舞台で見せている。
こんなすごいお芝居があるということが、
ものすごくうれしい。



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