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不徳の伴侶(赤坂レッドシアター 5/31 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

久々に、魂持って行かれる感じのものを観た!

オギー作で、彩乃かなみがメアリー・スチュアートをやるっていうから、
そりゃ観ないわけにはいかんだろとチケット取った、
大正解。

ずっとその舞台のことを考えている、
というよりは、
ずっと体の中にある。

「クローゼット(朗読)ミュージカル」と肩書きについているが、
検索しても説明は出てこない。この芝居と、
同じく、オギーと、音楽の福井小百合さんの過去の舞台しかヒットしない。

朗読劇ってふつー、座ってしゃべるだけじゃないですか。
藤沢朗読劇だと、衣装着て、照明とか効果音がいろいろ入る。

それに、歌と踊りがついた。
(衣装は現代的なのでちょっと違うがそこは置いておく)
さらに、立ち位置もどんどん変わる。

だからショーっぽくもある。

このさき、手に台本を持たなくなって、
場面転換がいかにもになったら、
普通のミュージカルになる。
というその境目。

なんでこんなスタイルにしたんだろう。
簡素だから?
でもこれだけ複雑だから、絶対歌も台詞も暗記できてるよね?

いやいや、このスタイルだからこその効果があるんだ。
手に台本を持っているという縛り。
これがあるからこそ、相手役と直接触れ合うことがない。
ちょっと手を取ったりはするけど、基本、向き合わない。

だから、感情が客席に投げ込まれる。

そのうえ、ミュージカルですよ。
感情の量が多い。どんどんあふれる。

それが客席にどくどく流れ込んできて、
待ってー! 受け止めきれなーーーい!

…終演後、隣の人が「はぁ~~~」って長い溜息ついてました。
わかる、わかるよー。

しかも主要3人がめちゃ歌ウマで、
音楽も素晴らしくて、オギーの世界観にぴったりで、
むちゃくちゃ難しい歌が次々繰り出されるから、どんどん飲み込まれる。
(歌詞聴き取れるし! 笑)

メアリー・スチュアートは、中谷美紀で観たことあります。(コチラ
高貴で、優美で、そして愚かな女王様。
「愛した、でも間違えた」というフレーズが切ない。
今の言葉で言うと、リスク管理ができない人ですかね。
恋愛や結婚で間違うと、ひどいリスクを背負ってしまう、王族の悲劇。

少女のように愛らしく、率直で、わがままで、
うっとり顔がさすがの娘役芸で、高貴で、
オギーが是非この人にと思うのが納得のかなみん。
もっと活躍してしかるべきの人だよねー。
歌声がふくよかで麗しい。

メアリーさんは3回結婚してて、3度目の夫が、
今回の相手役であるボスウェル伯。
藤岡正明をはじめてかっこいいと思った! ときめく!
全然好みじゃないけど、これは最高にいい。
ジャージーボーイズのあの卑俗な感じももちろんいいけど、
今回は不器用な武人なのよー。
女王様を宝石のように思って、お互い好きなのに耐えているのよ。

すんごい歌ウマさんなのね。
宮廷の陰謀をリズミカルにすごい早口で歌う歌で、一気に引き込まれた。

メアリーを俺の宝石みたいに讃えるナンバーが切ない!
二人が思い合うナンバーでうっとり!

まるで少女マンガでしょー。
胸キュンだわー。

と思いきや。

なんとまあ。。。
ここがオギーの残酷さなんだろうけど。

二人が結ばれる場面が、全然幸せじゃないという。
いやー、メアリーさん、それはOKしていいんじゃないの、と思いつつ…
いやいや、ボスウェルさん、拒否されたら我慢してくださいよ、と思い…
どっちにも感情移入。

これは宝塚では無理だよなあ。
いや、オギーの『バビロン』の鳩の場面とか、
『タランテラ』の蝶の場面って、そういう意味だったのかな!?
(あと、うえくみの『金色の砂漠』がちょっとそう…??)

しかも、そういう場面をですね、
普通なら暗転しちゃうところなのに、
歌でやっちゃうんだよ。歌!
だから怖い、クローゼットミュージカルとやら。
ありえないっしょ。

二人は結婚して一か月もしないうちに、
反乱をおこされ、逃げることになり、
別れ別れになって、幽閉され、二度と会うこともなく、
ボスウェルは10年後に発狂し、
メアリーは20年後にエリザベス一世に処刑される。

一方、リスク管理ができるのがエリザベス一世。
(レディ・ベスね)
リスクがあるから結婚しません! と徹底している。
父親が妻6人のうち2人を追放、2人を処刑…
夫を持つものは呪われろ、妻を持つものは嘆くがいい、っていうフレーズがつらい。
シルビア・グラブ、硬質で意志が強そうで、
でも本当は傷ついているからそうなんだよね、という線の細さも見える。

ほかには、
メアリーの二人目の夫で、とにかく薄情で悪いヤツの
ダーンリ郷や、メアリーの兄や、
メアリーの一人目の夫の母のカトリーヌ・ド・メディシスとか。
いろんな人物を、一人何役も演じる人が数人。

舘形比呂一は、リカちゃんと共演したとき全然かみ合ってなかったけど、
それは相性の問題だったんだろなあ。
ぞっとするような魅力があるのねえ。カトリーヌ・ド・メディシスの女役の凄み!
百名ヒロキははじめてみる。
薄情で傲慢な遊び人の若い夫、ってのが合ってた。
吉本真悟はダンサーなんだね。
関西弁でスペイン人をやったり、おおげさなカタコトでイタリア人をやったり、
この人だけ衣装が柄もので、
ちょっと別枠という位置付け。愛されキャラだった。

いろんな場面を思い出すなあ。

少女時代を思い出す明るいナンバーが、
処刑の場面で使われていたり。

死んだ後もボスウェルが椅子に座った状態で、
メアリーをじっと見ていたり。

メアリーの衣装は赤で、ボスウェルの衣装は青なんだけど、
二人の思い合うナンバーに「紫」って言葉が入ってた。
二つの色が混ざった色なんだね。

レッドシアターにふさわしい、緋色の女王様のお話しでした。

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