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娼年(東京芸術劇場 9/3 13:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

ものすごく実験的でした。

というのも、Hシーンを、最初から最後まですべて、ちゃんと演じるのです。
最後までって最後までですよ。
こんなん初めて観た。

普通は暗転するところを、全部やっちゃうから、
客席はどうしたらいいのか困惑。

でも、それにちゃんと意味がある。

ダンサーが成長する物語なら、
踊りで、下手なのから上手になるのを表現しなくちゃならないじゃないですか。
こういう踊りをする人が、こういう場面では違うふうに踊った、とか、
踊りに心情があらわれる、とか、あるじゃないですか。
それと同じことを、ベッドの上で表現するわけです。

いやあ、ほんと大変だと思う。
全く新しい試みなのでは。
映像ならあるだろうけど、舞台で、だよ。

イケメンだけど物憂げな大学生が、娼婦ならぬ娼夫として成長?する話なんですが、
結果として8回ぐらいあったかな、そのシーンが。

どれも個性的でした。

女性の欲望が個性的ってことなんですね。

見た目にコンプレックスがある、
セックスレスを気にしている、
人と違うことで興奮する、等々。

それに寄り添う娼夫。

完全に夢物語ですわ。

でも、そんなんあったらすごくいいな、と思う。

男性が次々女性を食っちゃう話なら、
90年代ぐらいの青年漫画によくあったけど、
それとは違うのはなんでだろう。

また、男女が逆だったら、
「女性に都合のいい役割をおしつけて」
「これだから男は」
って石投げられるよね。(私なら投げます。)

それだけ、女性は買われる性だったということ。
この話はそれに真っ向から挑戦している。
だから夢物語。

主人公のことを好きな女の子が、
「一番いいエッチは、好きな人とするものに決まってる」と言っていたのに、
結果的に、金で主人公を買って、好きな人とできたのにも関わらず、
プロの技だったことで衝撃を受ける、
なんていう、かなり特殊なドラマがあったりするのも、面白い。

二幕最初に、笑える場面があったのも良かったな。

立ち見を求める列に並ぶ女性が多くて、
主役の松坂桃李を観たいだけでなく、
女性にとっての真の夢物語を求めているんじゃないかと思う。

松坂桃李は、ほんとーに真面目な人なんだろう。
真面目で物憂げな役柄にあっていたし、
真面目でなければ、こんな役、こんな場面、やり遂げられないと思う。

娼夫の元締めの高岡早紀、立ち姿がいちいち決まってて美しかったです。

村岡希美が客として登場するんだけど、
この人への信頼感がさらに増しました。
体全体を使って、Hシーンを演じているのが、
真の役者さんだなー、と安心して観ていられる。

役者さんたちがみんな全力投球でやってるのを観たら、
なんか不思議なテンションになって、
終演後、友達と、そっち方面について、
今まで話したことないようなことまで、いろいろ語った。

道行く人たちを見ながら、
みんなそれぞれに、それぞれの性生活があるんだなあ…
と、いとおしく思えてきたり。

いい芝居だったかと聞かれたら、
脚本とか、ムーディすぎる音楽とか、バーやオフィスのセットがちゃちいこととか、
気になる点はいっぱいあるけど、

でも、衝撃的な芝居であったことは確かです。

そうそう、舞台中心のベッドに、
長い長い階段を降りて松坂桃李が降りてくるのが、
待ってましたー! と思えて面白かった。
この記事によると、女性の心の奥底に降りてくる、という意味なんじゃないか、とのこと。
なるほどー。

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