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王家に捧ぐ歌(東京宝塚劇場 8/2 15:30) [観劇メモ]

初演時にドはまりして、かなりの回数を観ました。

夫がワタルファンで、私はケロさん(汐美真帆さんね、念のため)と大真みらんちゃんが好きだったのです。

そのせいか、どの場面もよく覚えていて、でも「違う、違う〜♪」なんてことはなくって、とーーっても楽しかった。(なぜか『愛するには短すぎる』 だけは再演を観たくないんだけど、この違いはなんなんだろう)

そう、どのナンバーも秀逸で、歌も台詞もけっこう日常生活に引用して使ったものです。「あーりーえーないー♪」とかね。甲斐正人の曲がいいのはもちろんなんだけど、やっぱりキムシンのいいところが出ていると思うなあ。ケレン味がすべってない。

出だしがちょっとモタクタしてるかな? でも、ラダメスがどんどん変化していく成長物語としても、ラブストーリーとしてのウットリ感も、二人の恋が成就するか、二つの国の思惑がどう転がっていくかというハラハラ感も、平和になったら人びとは愚かになるのか? とか、お金=力なの? といった普遍的な問いも、すべてが秀逸なナンバーと、大掛かりで派手なセットと衣装との中で、上手くかみ合っている。

キムシンの最高傑作でしょう。


オペラグラスをふとあげると、演じている人が違うので「おやっ」と思うんだけど、その違いもまた楽しい。

初演は土くさい劇画、再演はお目目キラキラの少女漫画。再演のほうが宝塚っぽいかな。初演は「月の満ちる頃」がめちゃくちゃセクシャルだったけど、再演は清らか。ケペルがアムネリスとくっつくだろう妄想も、初演はアリだけど再演はナシだな。

合う演者で再演できて本当によかったです。ヒロさん、チャルさんが在団している間にできてよかった。ヒロさん、ちょっと髪型が初演と違うかな?

まあくん、爽やかーまっすぐーって感じで、ぴったり。歌上手くなったなあ。って思うのはワタルの歌唱と比べているからか(笑)。立派なトップさん だね。

みりおんは、サバサバキッパリした持ち味が活きてるし。トウコと違う娘役歌唱で、新鮮でもある。

そしてなんといっても、うららちゃん。一番難しいのがアムネリス役の配役だけど、こんな古典的な美女がいてよかった。ある音域より上が全く出てい ないのがアチャー…なんだけど、メロディ変えるわけにはいかないのかねえ。芝居は堂々として立派なもんです。歌だけなんとかして、トップになってちょ。

真風ウバルドはケロさんのようにキレた感じではなくて、心の弱さが見える感じで、これはこれで全然アリだ。

カマンテあっきーが真飛さんに見えたのはなんでだろう(顔似てる?)。ちなみに、みらんポジはモンチだった。「光ってやがる♪」てやつね。

凛きらが神官にいてびっくり。着実に悪いオジサンの階段を昇っている。あとは、瀬音りさが女官でいい仕事してた。芝居のできる子は、チョイ役でも 表情が上手い。


そうそう、平和ではなく愛をテーマに変更と言われていたけど、全然わかりませんでした。どこが違うの?? はっきり違うとわかったのは、アイーダが女官にいじめられたときに「戦いは新たな戦いを生むだけ」ではなく、「ラダメスが生きてる」と歌うところだけ(トウコが退団後にやったバージョンでもそうだった)。

キムシンがパンフに、別に平和をテーマにしてるわけじゃないしー、と書いていたけど、それは照れ隠し以外の何物でもなかろう。平和なんてベタな テーマの作品作っちゃったけど、俺、もっと難しいこと考えてるもん、おバカじゃないもん、って言いたかったんだろう。(2004年に『スサノオ』 で北朝鮮拉致問題と自衛隊の是非について問うて総スカンくらったのもその流れではなかろうか)

でも、ベタでいいじゃん。ベタだからこその完成度だと思うよ。

初演時の2003年夏は、イラク戦争が始まったばかり。エジプトがアメリカの比喩で、ウバルドたちがアルカイダの比喩だということは、客席の誰もが理解していた(と思う)。

それが12年経って、今はどうか。イラク戦争はアメリカの自作自演だったということをアメリカ自身が認め。にもかかわらず、そんなジャイアンにごますって、自作自演の戦争に一緒に参加したいと言うようなスネオ政権を誕生させてしまった。

一幕最後、ファラオが「これは賭けだ。平和を保てるかどうかの賭けだ。」と言うところで、呆然としてしまった。

怠慢のつけが今来ているんだなあ。平和や基本的人権っていうのは、努力しなければ保てないものなんだなあ。


ま、この作品だと、賭けに負けたのは、親子の情で秘密を漏らしてしまったからなんだけどね…。ここがこの作品の致命的なところなんだけどね…(平和って言っておきながら、戦争が予想できる行動をするアイーダに感情移入できない、という人がいるのはよくわかる)。あ、だからキムシンはそのア ラを隠すために「愛」と言い張りたいのか。。。。


そうそう、アムネリスの金属ウロコみたいな衣装は変更になってました。重かっただろうね、あれ。あと、クライマックスの衣装も違ってたな。月の満 ちる頃のラダメスの衣装好きだったんだけど、素材やビジューが変わってた。などなど、衣装の違いはいろいろ発見しました。

初演時はブログをやっていなかったのですが、トウコ退団後のバージョンの感想を発見。
ベタなテーマを、宝塚の様式でやるからこそ、好きなんだよなあ。
http://pt-omoitsuki.blog.so-net.ne.jp/2009-09-03
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モーリス

こんにちは~、ワタシも張り切って大劇場で観劇してきましたよ!

初演はDVDでしか見たことが無かったのですが、ムッハーーーとした息苦しさ(暑苦しさ?エロさ?)はやはり初演の三人ならではの空気感だったんですね(笑)
なんともサラッと爽やかな新コンビでした。

アッキー氏の表情が時々俺様あさこ様瀬奈じゅん様に見えた時があったのですが、帰宅後いや違う、しゃらんきゅーのハタケや(白目)ちゅー事はるなしーのジェイにも似てる(更に白目)ってな事に気付き、アッキー氏への高感度が少し上がりました(笑)あの恵まれた体格は本当に舞台映えしますな。

再演を観て刺激されたからこその感情ですが、やっぱり初演もこの眼で観たかったなぁ…と思った再演でございました。うらら嬢がトップになりますように(どさくさ)ハッタリ万歳!
by モーリス (2015-08-05 10:54) 

竜眼

モーリスさま、王家初演は生ではご覧になってないんでしたっけ、フィナーレの男役群舞のかげソロが、モーリスさんのご贔屓さんが注目されたきっかけでしたよね。美しいソロでした。
あっきーがシャ乱Qのハタケ? 言われてみれば…(笑)次から見たら笑ってしまいそうですー
by 竜眼 (2015-11-23 18:09) 

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