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エリザベート(帝国劇場 7/20 17:30) [観劇メモ(ヅカ以外)]

はじめてエリザベートに納得した!

(今まで東宝版は、一路&内野、武田&朝海、石丸&朝海を観てるんだけど、どれもあまり記憶にないんですわ)

宝塚版はどうしても無理がある。男役トップ=トートを主人公にするから、死が人を愛するという筋書きにした。それは、うっとりするけど、配役のバランスによっては、話がそもそも成り立たない。(成り立たないなりに「深い!」「気になる!」とは感じるんだけど、何度も観ているうちに「おや?」と思うの)

ウィーン版(というか原作)だと、エリザベートが主人公で、ルキーニがナレーター(裏の主人公)、トートはエリザベートその2という感じなんだよ ね。エリザベート≒ルキーニ>トート>フランツ、これが宝塚だとトート>エリザベート>フランツ>ルキーニ、とでも言いますか。

今までの東宝版もこうだったっけ? 演出が変わったのかな? 元のに近くて、話がちゃんと成り立ってた! と思った。

これは、お花様がすごいからなのだろうか。「エリザベートが主役です!!!」というのがはっきりわかる。

それとも、私が、育三郎ファンだからか。ルキーニを真剣に見ているからか(高島兄のときは、全然真剣に見てなかった、ごめん)。

いや、やっぱり演出も変わったんじゃないか? だって、精神病院の場面、東宝版だとなかったよね? 

宝塚版での精神病院の場面は、エリザベートが、精神病患者と違って自分の心が自由でないということを嘆くだけなんだけど、このバージョンだともっ と激しくて、「お前のほうが狂ってるんだ!」って患者たちに責められてた。で、最後、「強い皇后のふりをしてきたけど、孤独が増すだけだった」と嘆くの。より描写が深いし、その前に「私が踊るとき」っていうナンバーがあって(これは2002年花組版に追加されたものだったと思うけど)、ここで「トートに勝った! 実生活で充実してるから、私!」って豪語してるわけ。「勝った!」→「ウソ、心は全然自由じゃない…」という落差。エリザベートの内面がよりくっ
きりと描かれている。

一人の、自我に目覚め、自由に生きたいと思う女性が、旧弊に悪戦苦闘する話。を、彼女を刺したテロリストの口が語る。そのテロリストは死神を崇 め、死神は主人公につきまとうが、死神は主人公が見ている幻なのか、彼女自身なのか、王制の終わりを死神が演出してるのか、皇帝がこんな女性を愛 したことがそもそも王制の終焉なのか、、、、というふうに、何方向にもベクトルが向いていて、それぞれが無駄になっていない。ああ、これなら不自然じゃないよ。


お花様は、本当にすごいね。「私だけに」で、「自由に生きたい」って言うところで、「もう自由には生きられない」って思ってることが明確に伝わ る。そして、「何かあったら死んでやる」っていう意志もはっきり伝わる。それだけ極端なことをする人だなって、ひしひしと伝わる。…お花様自身 が、極端な道を歩んできたことが重なるっていうのもあるかなあ。13年もトップ娘役の座に居座って、卒業後も回り道して、そのうえでやるエリザ ベートだからこそ、の説得力だったりして。。。

育三郎ルキーニ、若干、謎のキャスティングだったけど、全然いい。全然いいよ! イタリア人ぽいのね、あのかわいいたれ目が。のんだくれて飲み屋 でくだまいてるけど、愛らしい、そして歌うとめちゃ上手くてちょっと色っぽい、そんな飲んだくれオジサン(お兄さん、かな?)。最後の狂う演技と か良かったなあ〜。全然手を振り上げないで、さらっと刺すのね。

よしおトート、歌に関しては、今まで聴いたどのトートよりもいい。ていうかお手本みたいな感じ。硬質で、丁寧で。でもビジュアルが…ビジュアル が…。よしおの見た目につ いて今まで全く疑問に思ったことなかったんだけど、釣り目メイクが全然似合ってなーーーい! 

まりおフランツ、ヒゲもお似合い(老けメイクはちょっとやりすぎか)。おじさん役も全然OK。情けなくてイメージ通り。

古川ルドルフ、すんげーバカっぽくて、あまりにもバカっぽくて、そこが母性本能くすぐられるという。

タータンゾフィ。こういう強権的な役、似合うよねえ。最後のソロも情感あってよかった。

いまっちがヴィンデッシュ嬢。作り込んでるんだろうけどそれを感じさせない演技力が、さすが。可憐で、はかなげで、ものすごく気の毒に感じた。

ももちがいたなあ。精神病院でバイオリン弾いてた。たぶん。

マデレーネが貞操帯をつけてるのって、前もあったっけ?

「すごく難しいナンバーがあるんだな」と思ったりもした。やっぱり、演出がかなり変わってるのでは…??


あ、一つだけ納得いかないのは、民衆が民族主義を叫ぶ場面で、ナチスの旗が出てきたこと。いくらなんでも、その時点で存在していないナチスを出す のはおかしいやろう。「○○年、エリザベートは…」というようにルキーニが何度も年号を台詞で言っている。エリザベートが死んだ年をそれまで知ら なかった観客も、ナチスがいつの時代のものだったかぐらいは知ってる。観客をバカにしてる? と思ってしまった。「これがゆくゆくはナチスにつな がるんだろうなー」ぐらいにしておいてもらえないか。
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コメント 2

NR

はじめまして。
実は東宝版を見た事がないので申し訳ないのですが、
ひとつだけコメントをさせていただきます。

昔、雪組初演と星組再演の間の時期に、
ウィーンで見る機会がありましたが、
ナチスのマークに良く似た旗をかかげた人達が出てきました。
確かに時代が違うので、ナチスそのものではないでしょうが、
何かを象徴しているのかなと思いました。
現地の人には分かるのかもしれませんね。

なお、オリジナルを見たのはそれが最初で最後なので、
今はまた違っているかもしれません。

ウィーンで見た時の感想は、
エリザベートが怖かった(笑)。
いつも怒っていて・・・。
あのまま日本でやったら共感されなさそうだと思ってしまいました。
by NR (2015-07-23 01:12) 

竜眼

NRさま、遅くなってすみません、コメントありがとうございました! ナチスではないけどそれっぽい旗ですか、そうした思想を抽象的にあらわしたのかもしれませんね。
そういえば私も、10年ぐらい前に梅田芸術劇場でウィーン版を観ているのでした。そのあたり全く記憶にありません(^^;) エリザベートが怖かったことは覚えてます(笑)
by 竜眼 (2015-11-23 18:08) 

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