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天使のはしご(バウホール 3/30 14:30) [観劇メモ]

出張の帰りに観てきました。(REONは高騰しすぎて入手できず。。。)

鈴木圭はどうにもこうにも素人っぽさが抜けないなあ…。

男女の感情の機微を、ドキドキしながら、ああん、誤解しちゃいやん、でも、でもわかるわー、恋愛ってそういうものよねー、みたいな感じで楽しむお話だと思うのですが(原作未読なので、推測)、そうなりそうなところで、あっさり流しちゃう。んで、「愛よりお金なの!?」といった、陳腐な台詞に集約させちゃう。

だったら別にこのストーリーでなくても良かったんじゃないか、とゆう。。。中流階級と上流階級の葛藤など、現代人にはそのままでは伝わりにくいはず。これまでの「金より命」(『愛のプレリュード』)「権力より愛」(『灼熱の彼方』)といった、子どもでもわかるようなお題目とは違う。だから、あえてそこを取り上げるなら、もっと「洗練」が必要でしょう。

音楽の入り方も、話の腰を折ることが多い。照明も。(こういうところは原田諒はまだマシ)

で、肝心の主人公ダーシーがどういう人なんだか、よくわからなくなってしまった。いや、すずみんはスターオーラぴっかぴかで、「この人がかっこいい主人公なのね」ということはわかるんだけど。感情の流れが見えない。一見、高慢な態度だけど素直になった(『めぐり会いは再び』と同じパターン)、というのであれば、「エリザベスを愛したことで自分は変わったんだ」という台詞がおかしい。本当にイヤな人だったのが、エリザベスを愛したことで変わった、というのなら、宝塚らしくないし、すずみんの風情と合わない。変わったという具体例が、かつて自分を裏切った人を許すという「寛容になる」ことだけだとしたら、「素直になった」とかいう次元じゃない、もっと深い話だろう。結局、最後まで「?」だった。

この原因は、エリザベスの視点で描かれているっていうのもあるんだろうな。はるこちゃんは私好みの意志の強い女の子がピッタリ。万里柚美の嫌味に、しれっと言い返す場面は、なかなかいい場面だった。(鈴木圭が描くこういう気の強いヒロインは割と好きだ。)でも、エリザベスがダーシーを見直す理由というのが、すべて他人からの伝聞というのが、痛い。それでは説得力がない。せめて、何か現場を見る場面がほしい。

みやるりの役も、やっぱりよくわからなかった。純朴なお坊ちゃんなんだろうか。すぐ恋に落ちて、でも姉の言いなりで別れるような。けれども、みやるりの渋い声だと、とてもそうは思えず。かといってあの顔と背だと、どうしても白っぽい役が回ってきがち。好きなだけに、うまく使ってやって〜〜、とハラハラしますです。プロローグで「あ、私の好きな感じの男役踊りしてる人がいる」と思ったら、みやるりだった。。。私ってやつぁ…。

ともみんの役はおいしかったね。そして、かっこよかった。明るくさわやかに見えて、実は自堕落な遊び人。男役芸もさらに濃くなってて、組み替え後も楽しみです。

ともみんとくっつく末っ子は96期の綺咲愛里か。素顔はかわいいのに、舞台だと小動物系になってしまうのが、宝塚の不思議なところ。芝居が棒読みなのは仕方がないとしても、方向性としては現代的で、テレビとかのほうが向いてそうに見えた。(最初は原告さんと仲良しだったのにね…とちょっとモニョモニョはするけれども、裁判記録からわかるいじめの関与度としては雑魚なので、さほど気にならない。)

ほかは、たくさんいる登場人物も、あまり奥行きがなく…。天寿光希は捨て身の演技で、さすが! と思わせてくれたが、ストーリーテラーなのかそうでないのか、よくわからない脚本だった。今までよく使われてきた、コロちゃんとか、美城れんが使われていなかったなあ。華雅りりかは、ヒロインの姉ということで貫禄すらあった。芝居が上手いんだろう。顔が大きいのが難点か。優花りこは、音声だけ聞いてたら、理想的な娘役だな。汐月しゅうのダンスはいいねー。麻央侑希がいっこうに男役らしくならないのが残念。
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ネリ

たしかに、エリザベス視点のお話を男役主役の舞台に置き換えるのは、かなり手を入れないと中途半端になりますよねー。
私は、「高慢と偏見」は、推測と想像と噂と伝聞などで日常が構成されてる古い社会に、エリザベスが現実に切り込んで本音で対峙(って大げさなもんではないですが)してみせるありようが面白かったと感じました。話の上では、ダーシーの魅力は重要なポイントではないんですよねえ。。。
小説と映画(キーラ・ナイトレイが美しかったです)もぜひ♪
by ネリ (2012-04-01 12:54) 

ネリ

重複投稿してしまったので、最初の方を削除していただければ。。すみません!

思い出しましたが、ラストシーンが結婚式というものすごい王道パターンの割に、衣装の引き抜きが斬新でしたねえ。。鈴木先生の「オリジナリティを出したい」という抵抗でしょうか。

ともみんには、もう少しワルややさぐれ感を追及してほしかったですが、あの話の枠では、やりすぎると浮いちゃうかなあ。。
by ネリ (2012-04-01 13:36) 

竜眼

>推測と想像と噂と伝聞などで日常が構成されてる古い社会に、エリザベスが現実に切り込んで本音で対峙
ええええ、そんな面白そうな話なんですか! 言われてみれば、宝塚版にもその片鱗があった、の、かも…????
是非、原作を読んでみます! 映画も、公開時に同僚がはまってたんですよ、そういえば。見なくちゃ〜。
衣装の引き抜きも驚いたし、扉がはずれるのもウケました。鈴木圭はそういう昔ながらのケレンのほうが得意なんじゃないかと。ちょうどこの日観劇していた植田御大に、そこらあたり確認してみたかったです。
ともみんは、まだまだ爽やかさんでしたねー。あれ以上だと、すずみんと別世界になっちゃったのかもしれません^^;
by 竜眼 (2012-04-03 20:57) 

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