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天守物語(新国立劇場 11/18 19:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

乙女ちっくだわ〜。泉鏡花の恋愛至上主義はたまりませんね。愚かな人間界から隔絶された天守に住む姫君のところへ、素敵な王子様がやってくるのよ。しかもその姫君は、かつて乱暴されそうになって舌を噛んで死んだ女性の魂かもしれないという。強欲な男どもには染まらずに、永遠に乙女の世界で生きていく、その心意気がたまりません。

その姫君を女形が演じている、なんてファンタジー。

泉鏡花はこれまでたくさん演じられてきたと思うのですが、私が観たのはこれだけです→2007年 夜叉ケ池。と、ビデオと漫画

この夜叉ケ池では男役が男性を演じていたから、やっぱり異性装はファンタジーの世界を成立させるのにふさわしいなあ、と。

富姫役の篠井英介はさすがに立ち居振る舞いや着物の裾さばきが美しい。魔物って感じ。強欲な男たちから見たら、乙女なんて魔物かもね。でもいいの、乙女は乙女の世界で生きていくんだもの。富姫、ほんと、可愛かったです。

逆に、亀姫役は若くてギョロ目で、現実感がある魔物。奥村佳恵って、『黒い十人の女』でも魔性の女をやってたなあ。

王子様(違います、武士です)の平岡祐太は初めて見た。ハリのある声がよかったけど、ちょっと押せ押せの演技だったような。あと総髪がいまいちだった。(まあ、真飛さんを超える総髪はないと思うがね)

女官頭みたいな役に江波杏子。これまた化けもんですよ(笑)。

歌舞伎メイクで亀姫のお供をする愛嬌のある武士が、なんとサカケン。たしかに、役柄にはピッタリなんだけど、この手の芝居に出ているのを初めてみた気がする。似合ってました。

こないだ御園座ですごいと思った田根楽子が、舌の長いおばあさんの役。漫画に出て来た化け物がそのまま舞台にいるみたいだった。オフ姿が想像できん。

腰元に私の好きな村岡希美も。この人の声も、ちょっと化け物入ってるよね。

さて、この公演の目玉は、装置なのではないでしょうかね。一階の客席の半分近くを、真四角の天守の装置にあててます。大半の芝居はそこで行われて、周囲に通路があり、天守への階段ということらしい。じゃあ、奥にある本舞台は何に使うのかというと、通路みたいなのがじぐざぐにあって、それが上下するの。あるときはお城の屋根、あるときは、人間界、またあるときは魔界との通路、と使われていて、いやはや、スペクタクルーって感じがします。そういえば、三津五郎の『世阿弥』をここで観たときも、舞台が上下してたような気がする…この劇場特有の仕様なんでしょうか。メインの天守部分が観づらいであろうということで、二階席には高いクッションが用意されてました(背の低い私は足がつかなかった)。

音楽が幻想的ですごく素敵だったのと、衣装のお花の模様が印象的でした。聞いたところによると、着物ではなく、洋服地? キャンバスみたいな? 布に描いてあるそうで、ものすごーく重いのだとか。
振付けは現代的すぎてちょっと変だったなかな。

冒頭の、現代の男性の格好で篠井さんが倒れていて、櫛が落ちている、という場面。意味深だった。その場面や、途中でも出て来た現代の格好の初老の男性は、泉鏡花なのかな? 乙女心のイデアを、泉鏡花が拾い上げた、という意味なのかな??

古い戯曲の台詞そのままなので、ちょっと聞き慣れない単語もあったけど、予習復習してまた明日観ます。
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