宝塚ファンの社会学 / 宮本直美 [ヅカってなんだ？的記事]
こんな時ですが、出るのを楽しみにしていたし、イズムの青弓社の本なので、早速読みました。
「あそこで並んでいる（注：出待ちのこと）ファンたちはみな、宝塚スターへの行き過ぎたクレイジーな思いからあんな奇妙な行動をとっているのだろうか。それは説明として粗すぎる。」（p9）
なるほど、今までのタカラヅカ研究ではほとんど言及されていないファンクラブ活動、言及されていても「もどき劇団」と混同されてたりしていた（『踊る帝国主義』ジェニファー・ロバートソン）ファンクラブ。その仕組みを、ただのファン意識ではなく、組織の在り方として解き明かそうという本です。
結果として、現時点（厳密には1990代〜2008年だそうですが、現時点も変わっていないと思われる）での、ファンクラブの「暗黙の了解」が、ほぼ全て網羅されています。
こういう本はとても貴重です。１０年後、２０年後にものすごーーーく貴重な資料になると思います。非公式の活動って全然、紙に残らない。そのうえヅカファンは「今を生きる」人たちばかりだから、自分が経験したことを歴史として語らない。残さない。とてももったいない。今こうして紙に残ることはとてもとても貴重です。
また、これからファンクラブに入る、最近入ったという人は、これを読んでおけば「なるほど、こういうことがあるのね」「こういう力関係で動いているのね」と心構えができて、とても良いと思われます。
ただ、どうしてこのような組織の在り方になっているか、については切り込めなかったようです。「より踏み込んだ社会学的関心の断片は、むしろ注のなかで示唆するにとどめた。今後は個別の問題を分析していければと考えている。」（p190）とのこと。ファンクラブの在り方は宮廷生活の構造に似ている、という指摘が面白いので、今後に期待しています。（私が出待ちしながら「これって平安時代の宮中」って思ったのもちょっとつながる〜？ ←何様）
また、冒頭（p18）では新専科制度が競争を激化させ、ファンクラブの在り方も変わった、とあって、「え、ポイント制って新専科からとか、そういうことがあるのお〜？」とわくわくして思って読み進めたのに、それについて本文中で触れていないのも残念。（ポイント制は1990年代からあった模様）
最後に面白い指摘が。最近チケット難じゃないので、ファンクラブの在り方も変わるかもしれない、と（p185）。なるほどねー。
未来についての予測は、今の分析と、過去の分析があってこそ。今についてはこの本で詳述されたので、過去がどうだったのかもすごーーく知りたいです。高声低声には断片しかないので難しいとは思うけれども、聞き書きとかするしかないのかなあ。
あ、あと面白かったのが、注にちょろっと書いてあった、娘役を重視しないファンの傾向は、新たに「女性」を生み出して排除する現実の男性社会を模しているだけだ、という指摘（p17）。これまでの、男性社会からの逸脱であるという見方と逆だ。
：：：：：：：：本家はコチラです→a posteriori takarazuka：：：：：：：
「あそこで並んでいる（注：出待ちのこと）ファンたちはみな、宝塚スターへの行き過ぎたクレイジーな思いからあんな奇妙な行動をとっているのだろうか。それは説明として粗すぎる。」（p9）
なるほど、今までのタカラヅカ研究ではほとんど言及されていないファンクラブ活動、言及されていても「もどき劇団」と混同されてたりしていた（『踊る帝国主義』ジェニファー・ロバートソン）ファンクラブ。その仕組みを、ただのファン意識ではなく、組織の在り方として解き明かそうという本です。
結果として、現時点（厳密には1990代〜2008年だそうですが、現時点も変わっていないと思われる）での、ファンクラブの「暗黙の了解」が、ほぼ全て網羅されています。
こういう本はとても貴重です。１０年後、２０年後にものすごーーーく貴重な資料になると思います。非公式の活動って全然、紙に残らない。そのうえヅカファンは「今を生きる」人たちばかりだから、自分が経験したことを歴史として語らない。残さない。とてももったいない。今こうして紙に残ることはとてもとても貴重です。
また、これからファンクラブに入る、最近入ったという人は、これを読んでおけば「なるほど、こういうことがあるのね」「こういう力関係で動いているのね」と心構えができて、とても良いと思われます。
ただ、どうしてこのような組織の在り方になっているか、については切り込めなかったようです。「より踏み込んだ社会学的関心の断片は、むしろ注のなかで示唆するにとどめた。今後は個別の問題を分析していければと考えている。」（p190）とのこと。ファンクラブの在り方は宮廷生活の構造に似ている、という指摘が面白いので、今後に期待しています。（私が出待ちしながら「これって平安時代の宮中」って思ったのもちょっとつながる〜？ ←何様）
また、冒頭（p18）では新専科制度が競争を激化させ、ファンクラブの在り方も変わった、とあって、「え、ポイント制って新専科からとか、そういうことがあるのお〜？」とわくわくして思って読み進めたのに、それについて本文中で触れていないのも残念。（ポイント制は1990年代からあった模様）
最後に面白い指摘が。最近チケット難じゃないので、ファンクラブの在り方も変わるかもしれない、と（p185）。なるほどねー。
未来についての予測は、今の分析と、過去の分析があってこそ。今についてはこの本で詳述されたので、過去がどうだったのかもすごーーく知りたいです。高声低声には断片しかないので難しいとは思うけれども、聞き書きとかするしかないのかなあ。
あ、あと面白かったのが、注にちょろっと書いてあった、娘役を重視しないファンの傾向は、新たに「女性」を生み出して排除する現実の男性社会を模しているだけだ、という指摘（p17）。これまでの、男性社会からの逸脱であるという見方と逆だ。
：：：：：：：：本家はコチラです→a posteriori takarazuka：：：：：：：
私もこの本、気になってたんだ。
買おうかなぁ･･･ どう？買う価値ありますか？
by hanihani (2011-04-01 11:35)
「これって平安時代の宮中」←・・・ゴメン！ファンクラブの方たちの
集まりを見るたびに、ここは北○○？と思ってた・・・
by NO NAME (2011-04-02 01:29)
hanihaniさんみたいに、ちょーーー詳しい人には、
「それ知ってる」の連続かも…
（って書いちゃうと営業妨害？ 汗）
by 竜眼 (2011-04-02 22:13)
NO NAMEさま^^
私も、やるまでは北○○みたいって思ってました！
でも、やってみると、意外や意外、
金総書記一神教じゃなかったんですよ〜
いや、でもやっぱり、あの動作は北○○みたいではありますがね。
女官修行がんばりまーっす
by 竜眼 (2011-04-02 22:17)
立ち読みしちゃおうと思います。
あのこと、このこと、書かれてるのかしらん
楽しみ
で、女官なのね、わはは
私は局持ちの古い女官だな、多分。
でも確か源氏の君に「私だってまだまだいけてるわよ」とかいう
おばちゃんの女官いたよね（笑）
by hanihani (2011-04-04 15:19)
こんにちわ、
早速手に入れました。
常日頃、正しくないファンをしていると思っていたので
今更ながら勉強 しようかな？と、
まだ途中ですが
成人した頃にカップヌードルが新発売だった年齢の身としては
そうなんだよな、そうなんだろうな、そうかもしれない、
でもこのまま流されていくのでいいか！
自分の意思で判断している筈なのだけれど、ずるずると目線の罠に
心地よくはまっていく……。
ばぁぁんと組の方全員をお食事にご招待なんて
絶対ありえない夢を見て目覚めた時に大笑いしている私
見方によっては幸せ者でしょ(笑）
by まゆまま (2011-04-08 10:28)
hanihaniさん、いましたね〜、そんな女官
若い公達をぎゃふんを言わせてましたね
立ち読みしたら、
あんなこと、こんなことの裏話などなど、教えてください^^
by 竜眼 (2011-04-09 14:54)
まゆままさん、こんにちは！
心地よくはまっていく…まさにその通りですね。
これってどうなの、と思いつつも、楽しかったりもして。
私が生まれた頃にもう成人だったとは、だだだ大先輩^^;
これからもいろいろ教えてください^^
組子全員をご招待！？ そんな夢見た〜い！
by 竜眼 (2011-04-09 14:58)