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愛と青春の宝塚(青山劇場 2/19 17:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

観るのが怖かった。「宝塚は滅びひん!」という感動的な場面で、絶対に「けっ、滅びるってば」としらけてしまうと思ったから。初演から2年、その間、宝塚心のふるさと教の信者ではいられなくなってしまった自分は、この作品に引いてしまうと思ったから。『宝塚BOYS』再演を観なかったのも同じ理由。

でも、そんなこと微塵も思わなかった。「滅びるよ」とは思うけど、一方で「滅びない」とも思う。滅びるのは<組織>で、滅びないのは<精神>。宝塚のスピリットは滅びない。この舞台を作っているこの人たちが、そのことを証明してくれた。今まで一度も実現されたことがないであろう「清く正しく美しく」。でも、「清く正しく美しく」あろうとして努力してきた人たちが確かにいる。確かにいた。戦中戦後を生きたタカラジェンヌ、そしてその物語を作り上げるタカラジェンヌ。今目の前に宝塚のスピリットが生きている。宝塚の<組織>に絶望している今だからこそ、この舞台がまぶしい。

お話を作った大石静も、演出した鈴木裕美も、外部の人、でも宝塚好きな人ってところがミソだ。内部の上層部は、宝塚の何が素晴らしいかを、まっっったく理解していないのだろうなあ。

以下、初演と違うキャストを中心に。

マミさんは男前。男前すぎて、女性として恋する場面などはちょっと違和感もあったけど、みんなを引っ張っていってる、気配りもできるトップさんという印象。特に、すみれ寮を出るときの気丈さがいい! わざと悪ぶってるようでもあり、それが思いやりからなんだっていうのもわかるし、泣ける!

岡田浩暉の影山先生がけっこう良かった。石井さんの影山先生が大好きだったから、誰にもやってほしくなかったんだけど、これはこれですごくいい。台詞の間を長めにとってるのも特徴かな。思慮深い文学青年って感じなんだよ(石井さんは「パッション!」って感じ)。書いてる脚本も、すごーく繊細なんだろうなー。だから、タッチーと似ているっていうのが、よーくわかる。

坂元健児の速水中尉は体育会系で、出陣の際もあまり悲愴ではない。それが逆に切なく見える。だから、ウジウジしたタッチーが心の支えにするっていう説得力があった。文学青年である影山先生が「自分はああはなれない」ってひがむのもよくわかる。(しかし、速水中尉はドラマでは色男枠だったのに、舞台では初演再演ともに違うのねw)

かなみのベニがかわいくてかわいくて。でも、えみくらやるいるいの「素でやってる?」的なところはなくて、きっちり演じている、しめるところはしめるっていう手腕を感じた。グウェンドレンを思い出す。

オサムが年相応だった。歌上手かった。(あっくんも好きだったよー) ウメちゃんも観たいんだがなあ〜

オサムとベニが組んで踊ったりしていて、この二人、初演よりラブかな? と思ったり。海軍ものの台詞で「あなたと私は似ている」が初演とちょっと違ってたかな? 先生がタッチーを思って書いたのにリュータンが勘違いするのが、わかりやすくなってた。トモと兵隊さんのチューが濃厚になってたり。いろいろ変更はあったけど、総じて、関係性が強まっていたと思う。ラブ度が上がったというか、誰が誰を好き、というようなのが見えやすくなっていた。

決め決めで踊ってるやつがいる、誰だよ、と思ったらマメだった! 相変わらず小芝居しまくりで気になってしょうがない。おじさんぽい人がいる、と思ったら池袋まりだった! おなつかしや〜。

ところで、細かいことですが。史実では、歌劇団は全寮制ではないよね〜?(学校だけって意味なのかな? 学校も通いの生徒いたと思うけど) あと、ミッドウェー開戦のときにはもうタップダンスのような敵国の文化は上演不可能だったはず。

客席はほぼ満員。当初売れてないとか言われてたけど、いい作品は売れるんだよね。始終すすり泣きが聞こえたし。私も顔をドロドロにして席を立ちました。

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コメント 6

ange

私も観てきたんよ。
職場の若い子に、神戸地裁通って、それ観に行くんですか?と呆れられましたが。

真琴が相変わらずでしたね。
あまりの変わらなさに涙が出てしまって。

今の日本に宝塚は必要ない!と思いながら
宝塚に生きた、宝塚でこそ自己実現できた数多の生徒たちに思いを馳せて
やっぱり泣いてしまうのです。
by ange (2011-02-22 09:30) 

竜眼

>神戸地裁通って、それ観に行くんですか?
私も言われそう(笑)
それとこれとは別問題なんですよーー
いや、同じかな?
宝塚の総てが嫌いになったわけでは決してないんですよね
数多の生徒たちへの敬意は捨てられません(T T)
by 竜眼 (2011-02-22 23:27) 

baron

またもや激しく頷くことばかりです!

>内部の上層部は、宝塚の何が素晴らしいかを、まっっったく理解していないのだろうなあ。

これですよね、これ!もうこれに尽きると思います。
理解してる人に即刻経営バトンタッチしてほしいです!
(歌劇に「その昔とはいつのことだろうか」なんて開き直ったこと書くような人じゃ・・)
そしてセンセイたちは鈴木裕美さんに弟子入りして人を生かす演出を勉強しなおしてほしいです。

>滅びるのは<組織>で、滅びないのは<精神>。宝塚のスピリットは滅びない。

この一文に泣きました・・。
by baron (2011-02-23 22:01) 

竜眼

baronさま、ありがとうございます(> <)
あの開き直りコメント、ほんとKYでしたよねえええ〜
あんな人が経営のトップとは。。。
大石静が今度宙組の脚本を手がけるそうですが、
いっそ演出も鈴木裕美にお願いしたいぐらいです。
by 竜眼 (2011-02-24 22:13) 

hanihani

とりあえず、こだまっちだけでも大石先生の御宅で内弟子として
掃除、洗濯でもしながら本の書き方を学ぶっていうの
どうでしょうか?

植紳は確か劇作家北條秀司氏(箱根登山鉄道社員でありながら劇作家となられた方)
の弟子でしたよね。

徒弟制度を復活させるか?!
by hanihani (2011-02-25 14:09) 

竜眼

洗濯掃除、是非やっていただきたいですねっ
メイちゃんの演出は楽しかったけど、
留学で脚本の力がついたとは思えない…
ひょっとして、徒弟制度がなくなったのも、
脚本力低下の原因なんですかね???
by 竜眼 (2011-02-26 17:29) 

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