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早乙女太一特別公演(新歌舞伎座 2/13 11:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

一幕「狐笛のかなた」はお芝居。原作あり、北林佐和子の演出。

人間にあやつられている狐(早乙女太一)と、動物の心がわかるエスパー少女(安倍なつみ)とが、戦国時代の領地争いに巻き込まれて互いをかばい合うという、切ない物語。ファンタジーだけどつっこみどころはない。「ハーフヴァンパイアってなんですか〜?」@薔薇の封印みたいな矛盾がない。よくある話なんだけど、飽きさせない。展開が早い。最初は誰と誰が敵か混乱しそうになったんだけど、ちゃんと解説してくれる人がいて、それが不自然じゃない。

OSKが近鉄にきられる直前、北林佐和子の作品がヒットしてたから、宝塚アカデミアでは「宝塚に北林佐和子を呼べばいいのに」ってしきりに言われてたよねーーー。ほんとだよ。

安倍なつみが思ったよりよかった。ヒロインのお母さん役が絶対絶対元ジェンヌだと思った。あのたたずまい、所作、笑顔。そこそこ年いってるけど、あれは娘役芸のなせるわざ。元ジェンヌじゃなかったら私、ヅカファンやめてもいいわ。→香坂千晶さんでした。日本髪だからわからんかった。ほーらね。娘役芸ってのは、男役芸と同じぐらい希有なものなんだよ。身につけるのが大変で、身につけたら一生身を助くものなんだよ。それが全く身に付くはずがない研1生にヒロインやらせるなんて、宝塚歌劇団はアホとしか(以下同文)。

一番怖くて悪い妖術使いが、すごい低いガラガラ声で誰だと思ってたら、大浦龍宇一。うっそー。リカファン的には『グッバイチャーリー』の相手役、情けない好青年だったじゃん、芸の幅ひろいんだなあ。解説担当の天狗は梶原善。三谷作品とはまた違うノリでジジババにもわかるよーに解説してくれた。ほかにも、怖げなおじさんがいっぱいで、おじさん好きとしてはほくほくでした。

早乙女太一は、まるでコムちゃんだった。この人、「俺が主役だあああ」みたいな気迫、微塵もないのね。かといって、座長らしくないかというとそんなことはなくて、ちゃんと芯になってる。舞台にいて当然、真ん中にいて当然、でも本人よくわかってない、みたいな。あー、こういう人、ほかにも知ってる、誰だっけ誰だっけ、と思って思い出した。朝海ひかるさんなのだった。舞台の妖精。ただただ踊ってたら、真ん中にいた、みたいな。芝居はやや棒読みなんだけど、刀さばきがもう美しくて美しくて。まあそういう振り付けになってるってのもあるんだろうけど、とにかくきれい。日本舞踊もきれいできれいで、はー、ほんとに妖精さんだわ、この人。ひょっとしてファンにそっけないんじゃないのかな。そいでもってファンはそのそっけなさがうれしかったりして。コムちゃんタイプなら絶対そうに違いない。

さて、二幕は本命のオギーのショー。オギーで日本もののショーをみたいと思っていたのだ。いやはや、オギーテイスト炸裂で楽しかった。

「残雪の花」というタイトルが示す赤い椿。太一が椿の精なのかな。まずは椿が雪に散る様子が描かれる。次は花魁の場面。遊郭の装置になると客席がちょっと笑うのだが、いやいやいやいや、音楽は楽しげだけど、オギーのショーで遊郭を描いて、明るいわけないやん。好いた男がいるのでお侍の誘いを断って殺傷沙汰、そのうえ置き屋で折檻される太一。いやー、ぞくぞくする。けどこれ、タカラヅカじゃあ無理かな。いや、やれるかな。

意味深な登場人物は相変わらず。冒頭の場面で目隠しした女性が連なってつれて行かれる、あれが遊女になるんだよね? 裸足の女性たちが雪の中を歩いているのが、着物を脱ぐと真っ赤な襦袢になって遊女になる。こういう仕掛けがたまらない。冒頭の場面で太一を助ける?青年が、花魁の場面でも同じように助けてて、冒頭の場面に戻るようなところもあった。最後は冬の海なのかなあ、毛槍を回したりする。好いた男と一緒に持ってるのが赤い風車(椿と似ている)だったり。巫女さんがいつも4人うろうろしてたり。あああ、パンフに場面ごとの説明載っていれば買ったのに。

装置はそんなに豪華でもないけど、でも盆とセリ、花道がある。雪や花吹雪はきれいで毒々しい。太一の衣装は豪華だし。宝塚には及ばないけど、ないよりかはましだ。文楽が好きなんだったよね、オギー。日本ものの暗さ、毒々しさ、そこにこそ咲く華やかさ。オギーの本領発揮なんじゃないの? タカラヅカの日本もの、やっぱりオギーで観たいよー。せめて、これから太一は荻田浩一を使うべし。

でも、終演後、客席のジジババは「暗かったなぁ」「ほんまやー」と言ってたっす。。。そういえば、梅沢登美男劇団のショーとか、明るくてお色気でおバカだった印象があるから、そういうのを求めてる人にはだめかもなあ。

::::::::本家はコチラです→a posteriori takarazuka:::::::


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コメント 4

福童

オギーはね、デビュー作の【螺旋のオルフェ】の時、ビデオ撮影したらあまりに舞台が暗過ぎて再度撮り直ししたそうです。
TCAあたりから目茶目茶クレームがついたそうだから、それ以後は不本意に照明明るくしてたのかも知れませんねぇ。
早乙女くんの舞台だとそういうこと気にしなくていいから思いきり本領発揮して薄暗かったのかも・・・・
置屋で折檻とか、赤い襦袢とか、素敵すぎますっ!
オギーは綺麗な素材を更に美しく処理するのが上手いものねぇ~
早乙女君みたいな素材に出会っちゃうともう宝塚どころじゃないかもなぁ・・・・
私ね、オギーが坂東玉三郎とか中村七之助とかに出会ってほしいなぁと思ってるんです、素敵だろうなぁ・・・・
by 福童 (2011-02-19 01:13) 

竜眼

撮・り・直・し!!!
これまでの宝塚の「明るくきらびやか」とは対極ですからねえ。
新歌舞伎座からも「暗くてジジババに不人気」って
言われないか心配です。
あのビル自体は若者向けみたいだけど、どうなのかなあ。
七之助×オギーって、うわー、ヤバい、観たすぎる〜
by 竜眼 (2011-02-20 18:17) 

桃ちゃん

認証コードやっとマスターしたので(泣)
はりきってコメ書きまくってスイマセン~
愛プレの名無しも私(書き忘れた)

>オギーは綺麗な素材を更に美しく処理するのが上手いものねぇ~
じゃー汚い人を綺麗に処理するのが上手なのは誰でしょうか?
宝塚に是非おしえてあげてくださいませ
by 桃ちゃん (2011-02-22 20:40) 

竜眼

桃ちゃんさん、認証マスターめでたい〜!
どんな天才でも、汚い人を綺麗にするのは至難の技なのでは…
綺麗な人すら汚くすることはできそうだけど(石田とかw)
by 竜眼 (2011-02-22 23:44) 

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