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ロミオとジュリエット(宝塚大劇場 1/9 11:00) [観劇メモ]

ミミを今日ほどかわいいと思ったことはない。華奢で可憐だ。箱入り娘で、恋に恋する少女そのものだ。歌は全く気にならない。

せしるを今日ほど上手いと思ったことはない。手の動きの美しいこと。慈愛に満ちた表情の美しいこと。

まず音楽が新鮮。あまり宝塚で聴かないタイプの音楽だ。すごーくいい曲もあれば、ちょっと何したいのかわからない感じの曲もあるけど、総じて、面白い音楽をずっと聴いているという感じの作品。

特に、ティボルトの「本当の俺じゃない」とベンボーリオの「昨日までは世界の王だった」に泣いた。ほかにも耳に残る曲はあるけど、物語として、この2曲は、悪い子の心情が描かれているから好き。不良少年の言い訳なんだけど、どこか共感する。キタロウくんは人間味あふれていて、暴力的ではあるけど、育ち方が違えば「いい子」だったかもしれないという面があるし、まっつは飄々としていて、みんなと悪ふざけしながらも、冷静な見方を失っていないベンヴォーリオにピッタリだ。

子供の憎しみは大人社会の反映なんだよね。そりゃあ子供って言ったって10代後半なんだから責任あるけど、本当に悪いのはそうさせた大人だよね。それも、 管理できなかったという意味以上に、子供に憎しみをうえつけたという意味で。(まるでロミジュリじゃなくて裁判の話みたいですが。憎しみというテーマは普 遍だのう)

そして自分が大人になって、自分がしてきたことを振りかえったとき(振りかえったとき初めて大人になる、とも言える)、大人である自分は子供たちにそれを植え付けないような生き方ができるか、と恐ろしくなる。そんなことができるんだろうか。憎しみの連鎖を断ち切ることはできるんだろうか。

だから、最後に和解するところはちょっとウルっとする。

ただ、ソロの大半がカーテン前なのは残念。小池ならもっと違う見せ方もできたのでは。元がコンサート形式の作品だからなんだろうけど

キムは恋にいかれてる感じが怖くていい。この人、誰も好きじゃないって感じがする(Wキャストだからそう思うのかもしれないけど)。まあ、正気じゃ乗りきれないよね、こんな状況。しかし、イカリ肩の衣装はスタイル悪く見えて気の毒だ。

そして、キスの角度が変! それ全然キスしてないやん! 1.5cm! 1.5cm! 上手いキスシーンはトップの義務だ!! 今すぐ水さんに習って!!

チギはいわゆる悪声で損してるけど、音程が合ってないわけじゃ全然ないんだよね。ほかの部分で頑張って大きくなーれ。コマにはマヤさんのあとを継いでほしいと私は勝手に思っているので、これはこれでいいと思うが…。にわにわやシューマイが歌いまくりで嬉しい。ヒロさん、髪型とヒゲが素敵〜(って昨日から私、おじさまのヒゲに言及してばかりだな)。かおりは色っぽくて、お母さんだけど現役「女」なのがよく伝わる。使いの央雅光希は前髪おろしてるほうがきれいだ。

そんなこんなで、みんなの髪型や衣装、憎しみにゆがむ顔のチェックで、役少なくてもまあまあ忙しい。

ただ、頭の中では『ウエストサイドストーリー』を常に参照していた。「両家は昔から憎みあってる」とか言われても、ねえ。昔の話だから当たり前なんだけど、全然ピンと来ない。そこに人種差別や女性差別を意味づけたウエストサイドは、やっぱり名作だったんだなあ。

ちなみに、夢華あみは、フィナーレで見ただけだが、顔から首、肩にかけての体格が立派すぎる。娘役はこのラインが非常に大事。裁判と関係なかったとしても、ヒロインはおかしい。(歌がうまいのなら)歌手として育てるべきだった。

三連休の中日のせいか、立ち見も出て久々に大盛況の大劇でした。

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コメント 4

ロク

雪のロミジュリ見に行かれたのですね。
私は行けそうにないので、感想で楽しませていただきました。
星のロミジュリは見たので、頭の中でこんな感じで違うのかな?と比べたりしました。

ウエストサイドを参照というところでふと思ったのですが、ウエストサイドのように争いの背景がはっきりしていることで悲劇の輪郭が明確になるのも確かですが、
ロミジュリは、見ている人もあるいは登場人物にもよくわからないような理由でも、たやすく争いは起こるし終わらないし人は死ぬという、そんな悲劇を表現しているのかもしれないなと。
お互いを愛するだけでは大きな流れに逆らいきれなかった二人の結末には、よくわからないのに続いている争いというのが背景としてふさわしいのかもなあと。

星のロミジュリを見たときに、ちえロミオが必死にあがいている姿が印象に残ったのでそんなふうに思いました。

なので雪のキムロミオだとどうなのかな~と気になっているのですがどうがんばっても見に行けないのが悔しいです。
by ロク (2011-01-15 00:03) 

竜眼

ロクさま、コメントありがとうございます!
最近、つい「憎しみ! 憎しみ!」っていうあの曲が口をついて出てしまうんです。
抽象的な憎しみを描いているからこそ、長く愛されてきた名作なのかもしれないな、と思い至りました。

キムロミオは、そんな憎しみの大海に浮かぶ小舟のように翻弄されていました。
あがくというよりは、ただただ驚いている感じで、
最後に死という小島にたどりついて平安を得たのだと思いました。
今更ですが、ちえロミオも観に行けばよかったです〜〜

by 竜眼 (2011-01-17 22:01) 

nao

はじめまして、景子先生の記事から飛んでまいりました。

普段は生の舞台を見る機会がなく(九州人な為)、見たとしても自分一人だけの個人的な感想で完結してしまうので、こうやって第三者の方のご意見がうかがえて少し嬉しいです。

ロミジュリの憎しみの背景についてですが、気になったので書かせていただきますね。ご存知かもしれませんがこの物語の(というよりは、モデルとなった)両家の対立の背景は歴史的かつ政治的なものです。当時イタリアではキリスト教のトップである教皇と国の政治的トップである皇帝が権力争いをしいて、地方ごとに教皇派か皇帝派が分かれて対立していたそうです。そこで、ヴェローナなのですが、ここは教皇派と皇帝派のどちらの勢力も入り乱れた都市であり(昔からここは交易の盛んな自由都市でしたからね)、その筆頭が物語で登場するモンタギューとキャピュレットとなるわけです。

個人的には、御伽噺的な悲恋のロミジュリよりもこういった背景をにじませながら、両家の苦悩とかも描いてほしいな~というのが希望です。事実、星のロミジュリを博多で観劇した際も二人の死よりも母親たちの苦悩とか後悔の方に涙が流れそうになってしまいました…ですが、これは原作がそういう諸々を取っ払って純粋な愛の物語ですので、それはそれでいいモノだと思っています。

星のロミジュリ観劇時は、若気の至り感が満載でどうにも主役の二人に酔えなかったので(母親や神父様とかの方に感銘してました)、DVDでしか見れませんが雪のお二人はどうなのかなーと…、私も劇場まで足を運べず大変悔しいです!!!


by nao (2011-01-27 13:33) 

竜眼

naoさま、はじめまして、コメントありがとうございます!

教皇派と皇帝派、なるほど〜〜、知りませんでした
世の中知らないことがたくさんあるなあ。
今(特に日本)は宗教と政治の対立は無いから、
かえって出さないほうがわかりやすいですね。
でもちょっと勉強してみたいです。
ご教示ありがとうございます!

雪のロミオとジュリエットは、Wキャストのせいもあってか、
ラブラブではなかったです。
そのせいか、ほかの人物にばかり感情移入してしまいました。
星は結局観れなかったので、映像でではありますが、
あとから是非比較してみたいです。

(すみません、書き直しました)
by 竜眼 (2011-01-29 11:22) 

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