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ロシアン・ブルー ー魔女への鉄槌ー [観劇メモ]

2個前の記事で言い尽くしてはいるのですが。細部を書いときますね。

とにかく、音楽や振付けがいかにもミュージカルなのがいいと思うの。難曲も多いけど、ハッピーなミュージカルの雰囲気がよく出てる。特に最初のほう、美穂圭子がカン高い声をあげ、ユミコ(彩吹真央)に歌い継ぎ、ミズ(水夏希)アルバートの政治生命=「キラースマイル」を讃えるナンバーで、ぐぐぐいっと引き込まれるのが好き。主人公である政治家の笑顔が、「心ない」だけど「武器」ってのが、辛辣で笑えて、この設定そのものも好き。広報部長ミズさんにピッタリだし。

かたくななロシア官僚「鉄の女」が、キラースマイルと対決する。『ヘイズコード』も検閲する側のこわばった人物と、それにアメリカンなノリでぶつかろうとする人物とのラブストーリーだったよね。こういう設定も好き好き。

トップ娘役お披露目のみなこ(愛原実花)は思ったよりも悪くない。低い声が美しいしね。あやしげな役が得意な人だったけど、ロングスカートで「鉄の女」をやってるのは似合うし、トップ業に慣れてない様子にもピッタリ。宛書き上手いな〜。次どんな役が来るか、だけど…(植爺か…)。

惚れ薬で物語を解決するっていうのも、別に安易だとは思わない。テンポいいし、こういうご都合主義に説得力を持たせられるのが、ミュージカルのすごいところじゃん。だから全く気にならない。ただ、惚れる=言うなりになる、っていうのはちょっと、すみれコードにひっかかるかな、という気もする。

専科さんが活躍してるのも専科好きな私にはうれしいし、キタロウくん(緒月遠麻)ちょーカッコいいし(村人に会うまでちょっとユーリ先輩に浮気しちゃおうっと)。ハマコ(未来優希)がかなりおいしいんだけど、ハマコは管理職っていうより、新人公演主演者扱いなんだろうなあ(たっくんは、あーちゃん(花瀬みずか)にも大きな役をつけてたね、そういえば)。ほかの人にも、た〜くさん役があって、出番はちょっとづつだけど、それぞれに背景がありそうなのが、とてもいい。

ミズユミの妄想しやすい設定はちょーっとやり過ぎかとも思うが、まー、正直うれしいからいいか。ユーリ先輩とエフゲニイ(真波そら)の関係も、ウハウハだよね〜〜。

○○スキーたちの場面、男役芸が出来てない子たちも、一生懸命がんばってる様子がかわいい。せしる(大湖せしる)はもうちょっと響く声がでるといいのだが。キング(蓮城まこと)は全体の間が悪いなあ。小芝居では目立ってきたけど、いざ台詞で場をもたせるとなると、難しいのね。しゅーまい(大凪真生)も「兵法の極意」でもっと笑いをとりたいところ。涼瀬みうとが間抜けな秘書で儲け役。毎回、めがねと髪型が違う! さゆ(大月さゆ)は芝居もショーも、西条三恵状態だなあ。楽しそうだからいいけど。きゃびい(早花まこ)はまた猫だね。美穂圭子の役は民主党の人。全国委員会って何? いづるん(天勢いづる)の役は共和党議員の秘書。この二人がいがみあってるから、両方ともそれぞれの党の議員の秘書なのか、それぞれの党の役員なのか、一瞬迷ってしまった。わからなかったのはそれぐらい。だけど、あらすじを読まずに楽しみたい人には、ちょっとツライかもしれないかなあ、大野作品。人数が多すぎるんだよね。

予習復習といえば。たっくんおなじみの実在の人物たち。バレエ・ルスぐらいしか知らなかったので、学習が楽しみー。メイエルホリド、セルゲイ・エイゼンシュテイン(戦艦ポチョムキンの人なんだ!)佐野碩、グリゴリー・アレクサンドロフの映画見なくちゃ、スターリンのそっくりさん俳優なんていたんだ、その付き人がなぜオカマなのか、衣装係は実在らしい! イリインスキーも実在なんだ〜。○○と○○も同じ検閲を受けたんだぞって言われてたの、誰だっけ。ドレスをおいていった人の名前も覚えられなかった。そっくりさんが見たミュージカル映画ってなんだろう。あーもう、たくさん学習しちゃうぞー。

そうそう、ペトルーシュカたちが、本当はバレリーナたちだからしゃべれるはずなのに、ずっと、役の人形のようにしゃべらないのが、おもしろい。よくショーでピエロがでてくるじゃん、あれって何なんですかね? たぶん、そういう様式があるんだろうけど、その様式を知らないから白けちゃうんだよね。でも、ペトルーシュカは知ってるし、知らなかったとしても、ストーリーにちゃんと関係ある人物だからぜんぜんしらけない。むしろ、深いと思う。(ちなみに、魔法使いの時代でもバレリーナの人が3人いて、でもそれは衣装とかでは区別されてなくて、そのうえ一人だけペトルーシュカと違う配役なんだけど……なんの意味があるの? っていうか、プログラム読まない人には全然わからないと思うぞ? そこまで凝るのはさすがにやりすぎでは…)

魔法使いの場面から、「アメリカ合衆国はロシア革命二十周年をお祝いしますレビュー」に移行するのもいいよね。魔女狩りと、粛正が結びつくのはよくわかるのだが、魔女狩りをしたのに幸せになれなかった→革命、というのははじめて聞いて新鮮。そういう見方ってあるんですの?

ところで、魔法使いは赤い髪で緑の服なのね。ウィキッドも緑だよね。日本人にとって緑は目に優しい良い色だけど、西洋では悪い意味が強いよね。赤毛のアンが黒髪に染めようとして緑になっちゃったり(だいぶ違う?)。

ところで2.レビュー団のアメリカ国旗を模した衣装に、ロシアアヴァンギャルドを感じるのですが。あと、稽古場の窓とかドアの金属の模様とか。具体的にどれと同じとは言えないんだけど。

しかし、こんなに芸術が盛んだったのに、一方では大粛清が行われていたなんて。怖いの〜。佐野さんは国外追放、その名前を杉本良吉が出したために、メイエルホリドは粛清、妻(麻樹ゆめみの役)も何者かによって殺害。「何かあったら僕のせいにしていいですよ」「悪いが本当にそうさせてもらうよ」は、本当のことだったんだ! しかも最悪の方向に! セルゲイとかグリゴリー、そっくりさんは大丈夫だったのかしら。じつはすごく暗い時代なわけだよね。。。

そこを、さゆのナレーションをちょこっと入れることで、これはアメリカ人のメイドが見た物語なんですよ、と外の立場からの見かたにずらしているのは、あらためて上手いと思う。

でもやっぱり、ラストは明るい大ナンバーで終わってほしかったなあ。二人がアメリカで幸せになるとかそういうハッピーエンドでなくてもいいから。最後の後味がちょっとさみしい。しかも、ミズもみなこも歌が得意なほうではないのに、あの二人のデュエットで終わるのは正直、もったいない。二人が踊って、ユミコのソロでもいいのでは。

あと難点は、キムがアメリカ人に見えてしまうこと。でも、ロシア人のなかではミュージカルを作ったり、タップをばりばり踊れる人なのだから、華やかさも必要だし。難しい役だね。

最後に。ロシア人名の「ネコタン」から猫キャラ→魔法使い、ロシア人名の「○○スキー」から、「君が好き」のナンバー。たっくんって、ダジャレ好き?


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