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キャバレー(青山劇場 10/11 14:00) [観劇メモ(ヅカ以外)]

パンフで阿部サダヲが「小劇場とミュージカルとではこんなに(手を上下に広げて)世界が離れている」(要旨)と言うように。パンフで豊崎由美がミュージカルとは「もう、どーんなおバカさんが観てもわかるような単純な話ばかり」(引用)だからつまらない、と言うように。松尾スズキがブロードウェイミュージカルをやるってことは、ものすごい異世界コラボレーションみたいに取り扱われているようだ。

けど。

そもそもミュージカルのルーツの一つはボードビルショーという寄席のようなものだよね? コントやマジックや歌や踊りや、が次々見られるショー。かつて「タカラヅカってなんなんだろう」と他ジャンルとの接点について考えていたとき、行き着いた結論がある。それは、ミュージカルとお笑いは決して別物じゃないってことだ。ミュージカル→ヅカ→大衆演芸→アドリブや客いじりといった一体感が重要→コント→コント集みたいな小劇場演劇………全部つながってるじゃん! みたいな。ちょーっと極論すぎるかな?

で、そんな寄席みたいなショーを見せるお店が「キャバレー」。今の風俗店とは違って、男性も女性も入店できて、サロン的な空間。踊り子さんと仲良くすることもあるけど、ショーを楽しむ場所でもある。社会を風刺したり、エログロナンセンスだったり、かなりいっちゃってる場所。

だから、キャバレーを舞台にしたミュージカルを、松尾スズキが演出するのは、むしろ、ピッタリなんじゃん!? 次々繰り出される小ネタにケタケタ笑い、次々繰り出されるナンセンスな歌に度肝を抜かれる。変な踊りと変な人たち。歌と踊りとコントと芝居が渾然一体となって。コントや奇抜なパフォーマンスで感じる異世界感、ちょっとした浮遊感と、普通の台詞に突然歌や踊りが入るミュージカルでの唐突感って、同じ構造に思えるんだよね。それでウットリするか、ナンセンスにもってくか、方向性が違うだけで、現実から浮遊するその勢いの良さは同じというか。そんなルーツを観たような気がして、新鮮なようでいて、納得も感じる舞台だった。

それでいて、『キャバレー』は王道なラブストーリーもある、わりと王道な有名ミュージカル。単純でおバカ? 世界が離れてる? 否否。そんな感じは全然しなかった。ルーツと王道が自然に同じ空間に存在してて、違和感なかった。なぜミュージカルということで二の足を踏むのか、もったいなさすぎるよ(それについては後日)。 

あと、新しい試みで成功したなと思ったのは、今の私たちにしかわからない台詞がいっぱいあったこと。ラブシーンの歌なのに、尾崎豊の全然関係ない引用が出てきたり。キャバレーでやってた演芸はきっとこういうふうに、その時代の観客と一体化できるネタばかりに違いなかったはずだもの。それに別れ話の台詞もいいし。意識してなかったけど、松尾スズキっていい台詞が書ける人なのかも。

ただ、残念なのはショーシーンがたいしたことなかったこと。もーっと面白い振付にしてほしかったなー。って映画版のボブ・フォッシーを観ているからそう思うのかな。それに、もーっとキンキラキンな衣装、奇抜な装置、舞台転換にしたほうがいいでしょー。ってヅカ基準で見てしまうせいかな。パンフの絵は猥雑で豪華で素敵なのに、舞台上のキットカットクラブはとても地味だった(じゃあ、ルーツに戻るの全然成功してないじゃんって感じだけど、まあ、企画そのものを評価ってことで)。

映画版とは違って、外国からやってきた小説家の目から見たベルリン(原作もそういう作りらしい)。その森山未來は後姿が男役みたいですっきりしていていい。飛び蹴りのパワーはすごかったが(笑)。ヒロイン松雪泰子は雑誌などで見る妖艶な感じを想像していたら全然そうではなく、むしろサバサバ。しかも、ちょっと痩せすぎか。ライザ・ミネリのキュートさとは全然違うけど、痛々しくていいのかも。阿部サダヲはまさに適役、自由自在。クドカンドラマは好きだけど、ブロスで松尾スズキの連載も愛読してるけど、大人計画は観たことないの。だからテレビでみた人がいっぱいだな~、という感じで、でも、みなさん予想以上に歌えて踊れるのね。あとはOGで美椰エリカが出ていると聞いていたけど、映像でしか見たことないのでわからなかった、すまぬ(なぜか謝る)。唐本雅子というダンサーが上手い。

で、秋山奈津子って何者ですか?! すごいんですけど。いろんな賞をとってる人なのね。緩急自在、時に自虐ネタで笑いをとり、時に恋するオトメになり、時にがめついオバサンになり、時に踊りまくって。この人の出るのは次も観たい! と心底思った。相手役の小松和重も最高。休憩時間の客いじりが儲けものでした。

それから、豊崎由美の書評は面白くて好きだけど、ミュージカル=マイフェアレディ、王様と私、レ・ミゼラブル、ライオンキング、と言い切ってるのはいかがなものか。うーむ。ミュージカルも小劇場も台詞劇も大衆演劇もいっぱい観ている人の論評が読みたいです。

それから2.猫のお化けが出てきたのは、松尾スズキの元妻が猫好きだからだよね? 映画版だとあれは、ゴリラだったはず。なんと痛い(心憎い?)演出なんだぁ。

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